NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会1 在宅生活の継続

 

1.在宅生活の継続

座長 石田 一美 秋櫻醫院
   山崎 正博 介護老人保健施設 アメニティ国分

キーワード 在宅療養、地域包括ケア

趣   旨
住み慣れた地域で暮らし続ける。私達は自宅で暮らしたいと希望する方々の望みをかなえるべく、医療・介護の視点で支えてきました。
また医療は生活の上に成り立つことを痛感し、更にその生活の場としての「住まい」の必要性を実感し、広く多職種の方々と連携・協働してきました。今、日本中どこでも「地域包括ケア」が推進されていますが、素朴に在宅生活の継続のための活動をしてきました。どうぞ皆さまのところでの実践報告をお願いします。その知見を皆で共有したいと思います。

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 大竹 功剛 医療法人あいち診療会 言語聴覚士 多職種連携による摂食嚥下アプローチの一例
 在宅生活を支えていくうえで、多職種連携が重要であることは周知のことであり、在宅ケアに注目の集まる昨今においても常に言われ続けていることである。しかし、実際にはその理論よりも方法において難渋を示す例が少なくない。この度「食べられる口を作る口腔ケア」の勉強会において、訪問利用患者に対し歯科医1名、口腔外科医1名、ST 4名、OT 1名、調理師1名による多職種でのチームアプローチが実現した。通常、自宅には単独での訪問が主となっていることが多く、そのためアプローチ方法には偏りが生まれるとともに1人での対応には限界がある。しかし、多職種が同時に訪問することで、その場でカンファレンスをしながらその方にとって何が一番望ましいかをリアルタイムで進めていくことができ、前向きな姿勢でその時での最善策を患者、家族に提供できることを体験した。その活動内容について報告する。
02 三嶋 泰之 医療法人社団佐倉の風 さくら風の村訪問診療所 医師 バルン、抜いてみませんか?
 膀胱留置用ディスポーザブルカテーテル(通称バルン)は脳梗塞後の神経因性膀胱、前立腺肥大症に伴う排尿障害、あるいは脊髄損傷による膀胱直腸障害などを理由に挿入・留置されます。これにより排尿障害の問題が解決されますので、病状によっては必須のものとなります。バルンを入れて在宅療養生活を続けている方も多いことと思います。ただ、その理由や継続意義を深く考えず「入ったまま退院してきたから、そのままにしている」ということがほとんどではないでしょうか。
 人間としてのプライドに関わる問題でもあり、「排泄はトイレで」と私は考えます。抜いてみませんか。今回の発表では、これまでの9年間の在宅診療においてバルンを抜いた症例を振り返り、そこから見えてきたことを皆さんにお伝えしようと思います。
03 金堂 美和子 医療法人エイチ・シー・ユー たけとみクリニック 看護師 高齢者ストーマ管理の難渋事例
 ストーマ保有者が抱える問題は多々あり、ストーマ周囲の皮膚トラブルの中でも近接部の皮膚トラブル が一番多いと言われている。当クリニックにおいてもストーマ管理をしている患者様が2名いるがどちら もスキントラブルを抱えている。
 今回の症例は老人性認知症で家族の介護力不足のためグループホームに入居した女性。大腸憩室の穿孔 によりストーマ造設、排便コントロール不良、ストーマ傍ヘルニアの悪化によりストーマ近接部の皮膚ト ラブルを発症した。グループホームスタッフとの連携、定期的なストーマ外来受診によってストーマ周囲 のびらんが改善し本人らしい生活が戻ったので報告する。
04 河野 恵子 介護老人保健施設洛西けいゆうの里   認知症ご夫婦の在宅復帰を目指して…
 近年、超高齢化が加速度的に進行している社会環境において、老健の役割も変わりつつある。今後更に高齢化 が進み、一人暮らしの高齢者や高齢者世帯が増加し、孤独死や認知症患者を抱える世帯の増加も含めて、地域で 様々な問題が生じる事が予測され、地域住民同士の繋がり、地域医療、老健施設の充実を図るとともに、そこに 携わる医療、介護の従事者には、多職種連携の下、提供すべきサービスの質の向上と効率的な連動が求められる。
 その様な状況下、当施設では、共に認知症を患う80代のご夫婦に焦点を当て、在宅復帰への支援を行い、現 在も目標達成に向けて支援継続中である。途中新たに発生した課題や問題点については、職種間で協議を行い、 その都度修正を行った。今回取り組んだ事例は、必ずしも特殊なケースではなく、今後も同様のケースが多数想 定されるため、今回の一連の支援計画、支援活動を通じて、老健の役割の再認識をするとともに、未来の老健施 設の在り方や方向性について検討を加え、より良い老健サービスを構築するための一助としたい。
05 吉村 和也 株式会社メディヴァ   在宅医療における日中および夜間の往診頻度に寄与する要因の分析(その1)
【目的】本調査では、在宅医療の24時間対応において負担が大きいといわれている往診について、関連する 患者の状態や医療処置等を明らかにすることを目的とした。
【方法】桜新町アーバンクリニックが訪問診療 を行っている65歳以上の在宅患者のうち、H26.10 〜27.3に診療を行った402名を対象とした。調査 期間中の往診回数と療養日数から往診頻度を算出し、関連する疾病および医療処置等を重回帰分析により 検討した(全体、日中および夜間)。
【結果】重回帰分析の結果、往診頻度の関連要因としてがん末期の疼痛 管理が抽出された。また、日中の往診の関連要因として肺炎および脱水・発熱が、夜間の往診の関連要因 として慢性疼痛の管理および経鼻経管栄養が、それぞれ抽出された。
【結論】がん末期の在宅患者において往診頻度が高いことが示唆された。また、往診が発生する時間帯に関 して、日中と夜間で異なる要因が寄与していることが示唆された。
06 吉村 和也 株式会社メディヴァ   在宅医療における日中および夜間の往診頻度に寄与する要因の分析(その2 非がん療養患者)
【目的】本調査では、在宅医療を提供している非がん療養患者において、日中および夜間の往診に関連する 患者の状態および医療処置等を明らかにすることを目的とした。
【方法】桜新町アーバンクリニックの65歳 以上の在宅非がん患者のうち、訪問診療をH26.10 〜H27.3の全期間において継続した191名を対象と した。調査期間中に発生した往診回数に関連する疾病および医療処置等を重回帰分析により検討した(全 体、日中および夜間)。なお、有意水準は5%未満とした。
【結果】重回帰分析の結果、往診回数の関連要因 として肺炎、吸入・吸引、せん妄および胃ろう・腸ろうが抽出された。また、日中の往診に関連する要因 として肺炎、吸入・吸引、せん妄、胃ろう・腸ろうおよび独居が、夜間の往診に関連する要因としてせん妄、 人工呼吸器および肺炎が、それぞれ抽出された。
【結論】非がん療養患者では、嚥下機能に起因すると思わ れる呼吸器症状が往診に寄与する可能性が示唆された。
07 鶴薗 慎二郎 社会福祉法人紘徳会 介護老人福祉施設 みどりの園 理学療法士 在宅医療における訪問リハビリの在り方~地域包括ケアの中での生活行為向上マネジメント~
 団塊の世代の後期高齢化問題により、受け入れ施設の不足解消もあって、在宅医療に注目が集まっている。 地域包括ケアを取り入れた運用を各医療機関が模索している中で、在宅医療の中の訪問リハビリの在り方 を、地域に特化した形で提案したいと考える。我々の地域では人口構成の高齢化があり、今後在宅医療を 勧めるためには、地域包括ケアシステムの構築が必要となってくる。しかし、全ての年齢区分で人口が減 少し、高齢比率が高くそれを補う人材の確保と育成が課題となっている。
 そこで、訪問リハビリの可能性として、通常業務以外に地域包括ケアへの積極参加により、地域全体を 把握していくことが重要になる。医療・介護に対する国・地方の考え方と、それに対する各協会の動きを 各研修会において理解し、この地域において落とし込みを行い、地域包括ケアシステムの構築を早急に確 立させることで、必要な施設であり続けることが可能となると考える。
08 吉永 満子 たねだ内科 看護師 有床診療所での在宅復帰支援の取り組み ~炭坑節を踊ろう~
【はじめに】当診療所は一般10床、介護療養9床の有床診療所である。長期入院患者様が多い中高齢者の在 宅復帰への取り組みの一環としてレクリエーションを実施している。入院患者様の平均年齢は88歳であ る。今回、92歳女性が在宅復帰した事例を報告する。
【目的】病棟行事担当委員会を中心に四季を感じる病 棟レクリエーションを年間行事として行い、残存能力の維持と拡大に取り組んでいる。
【方法】敬老会にて 患者様からの提案により、なじみある炭坑節を踊る事となった。
【結果】レクの時間に炭坑節の練習を行い、 敬老会は和やかに無事終了することができた。
【終わりに】患者様を中心に、職員は活動内容をサポートする様に心がけ、主体性を引きだす事により、在 宅復帰へつながると考えられる。今後も入院中の患者様の活動の場を提供する事により、心身機能の維持 と在宅復帰を支援していきたい。
09 瀬戸口 司 社会福祉法人 山陵会 特別養護老人ホーム フラワーホーム 園長 「隠居長屋ろんち」での茶の間活動
【はじめに】国土交通省募集の「高齢者・障害者・子育て世帯居住安定化推進事業」に申請しモデル事業となる。 「介護が必要な状態になっても自分の家で暮らすことができる」を目的に「隠居長屋ろんち」を開設した。
【目的】「隠居長屋ろんち」の地域交流スペースにて定期的に交流イベントを開催し、高齢者にとり安心して 暮らすための情報提供はもちろん、小地域の中で人と人とを「つむぐ」ことで、地域全体で高齢者への理解、 行政や制度ばかりに頼らずに自らの暮らしを自らで考え、認知症や障がいをもっても住み慣れた地域でこ れまでの人間関係を継続した暮らしのあり方を普及する。
【方法】毎週土曜日に送迎を行い、地域の高齢者・ 職員・ボランティアが共に調理や昔の話しをして過ごす。年間50回程開催。
【結論】外出支援を行なうこと で閉じこもりにならず、人生経験を生かし主役になる事で認知症予防にも繋がっているが、職員の送迎な どの課題もある。
10 徳永 美和子 社会福祉法人 山陵会 特別養護老人ホーム フラワーホーム 介護職 ひとり娘の遠距離介護~介護体験記 ザ・KAIGO~
【目的】私は「ザ・KAIGO」という介護体験記を出版した。それを基に、12年3か月間遠距離介護した体験 を報告する。
【方法】2001年、鹿児島の実家の母が、脳出血で倒れ、私は大阪から介護のため、月一回帰 省することになる。母の介護というより、その前に立ちはだかる父という、あまりに高く分厚い壁との戦 いが始まる。独自の理屈を振りかざし、専門家の意見を聞こうとしない父。介護の仕方を巡って父と対立 するも、結局父が怖くて父に従わざるをえないというジレンマが続く。そのうち両親の認知症、娘の不登校、 夫の転勤、単身赴任と、変化が次々起こる。
【結果】自分の体や精神にも異常が現れ始める。そこをどう乗 り越えるか。まず娘に、ひきこもり状態から抜け出してほしいと願い、自分にも目を向け、自分を変える 工夫をする。
【結論】介護退職や介護離婚しなくてすむような社会作り。知恵を出し合って何とか乗り切れ る環境を作っていきたいと思う。
11 灰瀬 美和 医療法人坂梨ハート会 さかなしハートクリニック 在宅医療部 介護支援専門員 夫の介護を失ったケースの在宅に向けての経過について
 誰もが"独居になった場合でも住み慣れた地域、家で最後まで暮らしたい"と願っているのではないでしょ うか?しかし同居して介護協力ができない家族は、要介護状態になった独居高齢者について、何を考え悩 み決断するのでしょうか?
 さてこれまで要介護5の妻を要介護3の夫が「これまで通り、自分が介護する!」と豪語、また九州北部 豪雨災害では自宅が全壊し施設入所を迫られた時は、夫は家族を説得して家屋を建てなおし在宅生活を継 続できた。しかしこの夫が今年5月突然の病状悪化で急死、妻は一人暮らしか施設入所かの最終決断を迫 られた。果たしてどのように支援すれば妻の一人暮らしは継続できるのか?また本人の揺れ動く気持ちと 「住み慣れた家で生活したい」という母の気持ちを尊重したい家族の思いに触れ、それぞれの思いに共感し、 ケアマネージャーとして自分には何が出来るのか日々自問自答を繰り返してきた経過について報告する。
12 中野 翔太 社会福祉法人 野の花会  老人保健施設 ラポール吉井 デイケア 理学療法士 365日朝食から夕食までの取り組み~20年間の歩み~
【はじめに】 開設時から20年間、365日朝食から夕食までのサービスを年中無休で行っており、お正月 にはおいしくて美しいおせち料理を食べることで、少しでもお正月気分を味わっていただき、ひとりぼっ ちでお正月を過ごすことがないような取り組みも行っている。
【デイケアでの取り組み】365日朝食から夕 食のサービスをご本人やご家族のニーズに合わせて提供している。お正月など独居の方が淋しく過ごされ ることのないよう心のケアを行った。リハビリに関しては、パワーリハ・有酸素運動を中心としたリハビ リと生活行為向上リハを行うことで、自宅内の生活状況を把握し生活行為の能力向上を図り、日常生活を よりよく過ごせるよう図っている。
【結論】病院や官庁などの各機関が年末年始やお盆など特別休暇体制と なるところが多く、独居の方など不安を抱えて淋しく過ごされることがないように、今後も継続して365 日朝食から夕食までのサービスを行っていく。