NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会3 緩和ケアと看取り

 

3.緩和ケアと看取り

座長 中嶋 啓子 医療法人啓友会    徳永 正義 社会福祉法人山陵会 理事長
キーワード 在宅看取り緩和ケアグループ、緩和ケアは病気なった時から始まる、
      終りよければすべてよしチームネットワーム

趣   旨
8割の以上の人が病院で亡くなる時代といわれていますが、その歴史はたかが50 年と半世紀にも満たないのです。それまでは8 割の人が自宅で亡くなっています。死は誰にでも訪れる自然現象です。その死をどう迎えるかは 誰もが気になるところですが、厚労省は医療費の削減として在宅死地域死を進めていますが、全体的にはがん疾患を除いて自宅死亡率は低下傾向といわれています。
今見取り交流会では1 つは何が在宅死を進めない要因か考えます。2 つめは病気になった時から緩和ケアを始めることが何よりも重要です。特に高齢者、難病、その他死を近くに見据える方々の緩和ケアの充実がキーと考えます。緩和ケアは苦しみ痛みからの解放ですが、それはその人の最後の短い期間ではあるが、生き方(人生)や生活の仕方にかかわる重要な仕事と考えます。
終わり良ければすべてよし。3 つ目に言うまでもなく緩和ケアはチーム、多職種協働で進める必要があります。
ホスピス病院では緩和ケアチームが組まれ手厚いケアが行われますが、在宅にもチーム、ネットワーク形成で緩和ケアグループができれば独居の方、困難事例の方の在宅緩和ケアを進められると考えます。皆さんからの「実践報告」と「緩和ケア推進の提案」お願いします。

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 万福 千鶴 社会福祉法人紘徳会 みどり明星クリニック 看護師 最期まで畳で~在宅での看取り 家族・患者の在り方~
 近年、在宅ケアが注目され、終末期のケアもホスピスや病院ではなく在宅での看取りが多くなっている。 当クリニックは過疎地に位置し、近い病院でも30分以上かけての通院になる。地域に根ざした医療をめざ している為必然と終末期医療の需要も多くなる。終末期医療の現状として、一般的に日本人は家族の絆を 尊重する為、家族の価値観や意志を大切にする風潮がある。医療に関する倫理の考え方についても同様で あり患者本人だけでなく少なくとも家族を含めないと終末期の療養は決定できない。  今回、在宅での看取りで家族の協力が得られないケースを持つことになり、介護保険・医療保険を使っ ての訪問看護を実施し自宅での療養生活を送った例を振り返り、アプローチ・ケアについて考察した。「最 後まで自宅の畳で」を目標に家族背景や医療状況など様々な背景の中で自宅で必要な医療を受けながら安ら いだ日々を過ごせるよう医療の提供をおこなって行きたい。
02 三木 次郎 三木歯科医院 歯科医師 緩和ケアとしての口腔管理~医科歯科協働によるがん末期13症例の経験を通して~
 当院は昭和62年に結城市に開業した個人歯科診療所で平成13年より訪問歯科診療を開始し、在宅療養 支援歯科診療所として、約130症例に訪問歯科診療を行っている。歯科医療は包括的ケアの中でも重要な 位置を占め、介入例においては経口摂取の継続や、口腔衛生管理による発熱頻度の減少など、QOLの向上 が顕著に認められる。がんの患者に対しても、医科連携のもとに、口腔乾燥や、味覚異常を改善させ、最 期まで口から食べる楽しみが享受できるよう、積極的に歯科訪問診療を行っている。  今回、がんの末期症例に対して在宅で歯科治療及び口腔ケアをおこなった13例に対し、介入内容、緩和 効果等について検討。その結果緩和ケアとしても歯科介入の効果が高いと判断された。また、本人及び家 族から感謝の言葉が聞かれ、QODの視点からも満足できる結果とえる。代表例を供覧しながら報告する。
03 野崎 慎也 社会福祉法人 山陵会 小規模多機能ホームふもとの家 管理者 小規模多機能ホームにおける看取りについて
【目的】住み慣れた地域・自宅で顔なじみの方々に囲まれて最期を迎えることが出来るように支援する。 【方法】医療、介護、家族と連携し本人にとって一番良いと思われる最期が迎えられるようにその都度、話 し合いを行う。【結果】開設し6年間で55名の高齢者が利用され、内16名が死亡された。7名を事業所で 看取った。医療的な支援が必要になり5名は病院で、4名は関連の特養で亡くなられた。【結論】本人、家 族が最後まで自宅での看取りを希望される方に対しては、終末期になり数時間でも自宅で暮らせるように 家族と連携を図りながら支援を行うことができた。事業所内での看取りでは家族や顔なじみの利用者、職 員に見守られながら最期を迎えることができた。
04 徳永 明美 社会福祉法人 山陵会 特別養護老人ホームフラワーホーム 看護師 特養での看取り ~新たな試み~
【目的】我々は特養利用者の看取りだけでなく、短期入所者の特養での看取り、特養入所者の自宅での看取 り等実践し、報告してきた。それらの経験を基に、"私たちは何が出来るのか"を考えながら看取り委員会を 開いてきたので、その取り組みの内容や経験について報告する。【方法】平成25年からNs、CW、CMなど の多職種で看取り委員会を立ち上げ、看取り状態に入った利用者の病気、宗教、死生観、家族間の関係性 など検討し、本人や家族とも話し合う機会を作った。自宅やお墓への外出、職員の勉強会を通じて施設で の看取りの在り方について取り組んできた。【結論】看取り委員会での検討により、職員の意識が変わった。 病気についての知識、利用者の生活歴などを知ることにより、より親密な関係性を構築でき、家族からの 満足感も得られた。職員がいつもと違うことを早期に察知し、対応することで利用者と家族が看取り期を 共有する時間を多く過ごせるようになった。
05 小林 浩雄 医療法人社団都会グループホームほっこり庵 介護職 終末期の不安に寄り添うケア
 昨年8月に入所されたA氏は、当事業所入所前に甲状腺リンパ腫を患い、抗癌剤治療を受けておられた。 以前入所されていたGHでは抗癌剤治療を受けながらの利用は難しく、法人内に診療所があり、24時間体 制で医療連携が取れる当事業所に入所された。だが入所後、心臓疾患の増悪が見られ、Drからは強い化学 療法には耐えられないだろうとの見解が出る。ご家族もこれ以上の治療は諦め、本人らしく、そして安心 して過ごして欲しいと希望された。  しかし認知症疾患のあるA氏は新しい環境への不安や不眠症状、胸部痛・吐き気が出現し、精神的にも身 体的にも不安定になられた。そんなA氏に安心して終末期を過ごして頂く為にはどうすれば良いのか?今年 の6月に最期を迎えられたA氏と、安心して日々を過ごして頂けるよう、寄り添った私達グループホーム ほっこり庵の職員達の事例を報告する。
06 有馬 儀子 医療法人社団実幸会 ユーカリデイサービス酒井根 介護士 デイーサービスが看取りの場?~デイサービスと訪問看護ステーションの連携
 当デイサービスは同じ建物内の訪問看護ステーションと密に連携を取り、医療ニーズが高い方を多く受 け入れています。その中でも、デイサービスが看取りの場になると実感したケースをご報告します。アル ツハイマー型認知症、褥瘡、不穏、生活の乱れで妻の疲労が強い状態。転倒、誤嚥、発熱で更に衰弱が進 み近づいてきたのは「死」。夫、父親の死の予感に戸惑い悩む家族。移りゆく心をとらえ、何度も家族の意 向を確認し続けました。家族が在宅での看取りを決断、関係者も皆迷いなくその方向に。  死が目前であっても老いた妻が介護するには、デイサービスに行くことが必須でした。他のゲストも過 ごす場に、状態の悪化したゲストを迎え、かつ看取りが出来る環境であること。それを可能にしたのは、 家族の決意と、在宅チームとの連携によるサポートがあったからだと実感しており、多死社会におけるデ イサービスの役割を提言したい。
07 仲山 弘美 立川在宅ケアクリニック 看護師 疼痛コントロール、本人、家族の心のケアに難渋し、在宅緩和ケアチームの必要性を実感した症例
患者紹介:48歳女性、直腸癌末期、骨盤内転移、ストマ造設、IVH。入院中より疼痛コントロール困難で 持続クモ膜下鎮痛法施行。在宅希望され家族も本人の意思を尊重し退院となる。介護体制:実家にて療養 となり、娘、母が主介護者。身体症状:下腹部の疼痛著明で医療用麻薬のポートからの持続静注、クモ膜 下からの持続投与で対応するもレスキューのPCAを頻回に使用する状態。痛い時は訪問看護へのコールも 頻回だが、痛くない時は買い物にも出かけている。精神面:疼痛に対する不安が強く訪問看護へのコール が頻回、医療者がいるだけで安心し痛みの訴えは減少する。病状増悪に伴い本人から「迷惑をかけるだけ、 死にたい」との言動がある。家族は聴くことが辛く「眠らせてあげてほしい」との言動がある。結論:在宅で も疼痛コントロールのため専門的知識、本人・家族の精神的ケアが必要であり、多職種で連携する在宅緩 和ケアチームが必要と実感した。
08 黒木 みほこ 坂梨ハートクリニック 看護師 食道癌患者の看取りを経験して
 当院は、心臓血管内科・透析・在宅医療(訪問リハ・看護)の19床有床診療所です。平成12年開設、平 成18年在宅療養支援診療所となる。平成24年有床診療緩和ケア加算を取得し、入院緩和ケア・在宅ホス ピスと患者の希望に合わせた医療を提供してる。  約15年間の在宅みとり92人、内癌患者29人の方のみとりに関わった。今回、本人は「大丈夫、わるーなっ たら入院する」と強く在宅を希望するが、訪問診療は拒み、一方で入院を希望する妻と向き合い、しかし訪 問診療開始後、間もなく在宅で呼吸困難、血痰、痰の増加により気道閉塞で亡くなられた食道癌の患者の みとりを経験、その人らしい選択そして、患者、家族、私達がその死に向かってどのように接して行くか、 容態が急変する事をどのように伝えたらよいか考えさせられた。今回の経験を振り返り今後の課題も含め て報告する。
09 斎藤 美由紀 社会福祉法人青藍会 在宅医療支援センターハートホーム新山口 訪問看護ステーション 看護師 在宅での看取りの現状と今後の課題
 機能強化型訪問看護ステーションの取得条件の1つとしてターミナルケア加算の算定数15件以上を達成 する事が挙げられる。当事業所でも機能強化型訪問看護ステーションを取得していく事が課題となってい る。今後、在宅での看取り件数を増やしていくために、当事業所において在宅で看取りができた症例とで きなかった症例について振り返り、訪問看護師の関わり方について検証した。  どちらの症例も御本人の自宅での最後を迎えたいという意思を確認できていた。  しかし、御家族と訪問看護の違いにより自宅での看取りの実現に差が出た。御家族から安心して最後を 任せたいと思われる信頼関係を築ける関わりを持つことが重要であることがわかった。今後、リビングウィ ル(意志決定書)を作成し、本人とその家族の意志を知る。そして、その自己決定を尊重し実行できるよう サポートする事に努めていきたいと考える。
10 西澤 文恵 台東区社会福祉事業団 ケアマネジメントセンターあさくさ 主任介護支援専門員 多職種連携緩和ケア啓発のための、浅草かんわネットワーク研究会の取り組み~ACP研修会での意識調査より~
フォローアップ
【目的】「最後まで安心して地域で過ごす」実現のため、浅草かんわネットワーク研究会では多岐活動している。 先行調査では、介護支援専門員における終末期や緩和ケアでの問題点として、利用者家族や医療者とのコミュ ニケーション、メンタルケアや調整においての困難等があげられた。【方法】問題解決の一助とすべく、介護支 援専門員に対しACP研修会及びアンケート調査を施行した。【結果】参加者78名中74名から回答を得た。研修 前の認識度は低いものの、後には実践活用に参考になったと93%が回答、今後の業務に取り組む前向きな意見 が得られた。【考察】介護職は利用者や家族の意思決定支援、医療者との連携や知識の習得が必要である。医療・ 介護の円滑な連携の元、協働支援の方向性の決定は必須かつ重要である。浅草かんわネットワーク研究会の「顔 の見える関係」「共通用語作り」を目標とした活動継続は今後の地域包括ケア構築の中でも重要と考えられる。
11 吉澤 あずみ 医療法人あづま会 グループホームおおいど 介護福祉士 入居者と家族をつなぐ支援
【はじめに】当グループホーム(以下、「GH」)では、「ご希望を叶えるお手伝いをいたします」という趣旨で、 ホーム内外での個別活動の援助を行なってきたところ、ご家族の方々のGHへのかかわりに変化が見られて きた。【考察】GHに入居してしまったなどの理由で諦めていたご家族の希望を、ご家族と職員が協働し実現 することにより、「GHに入居してからも自分の親の介護ができている」というご家族の満足感につながった と考える。そして、もっとGHにかかわりたいという気持ちが、ご家族の方々が主体となって集まる「家族 の集い」の開催につながったと考える。【まとめ】入居者とご家族をつなぐ支援をしていく中で、GHの職員 とご家族との関係も深まり、入居者の方々の活動の幅も広がった。今後も、当法人の理念の一つでもある「い つまでも"その人らしく"を支えます」を念頭に置き、入居者だけでなく、ご家族の方々の思いも支えていき たい。
12 徳田 千登勢 医療法人ネリヤ ファミリークリニックネリヤ 看護師 終末期にあることを患者さんやご家族が受け容れられない中で、自分らしく生ききるための訪問看護師の支援
【目的および方法】終末期にあっても、生き続ける希望を支えとしている患者さんやご家族も少なくない。 全身状態の悪化に伴って、希望と現実のギャップから生じる苦しみが大きくなる中での、訪問看護師の関 わりについて検討した。【事例】50歳代女性。膵癌。X日に退院、本人は「早く元気になって、子どものこ とをやらないといけない」と話す。X+ 5日、息子たちは「気合で乗り切って長生きしてほしい」と話してい たが、予後は1週間前後と説明された。X+ 6日、親子での釣りが好きだったため、多職種で海浜への外 出支援を行った。X+ 7日、せん妄となり、夫や息子たちに「生き返ったよ!」「愛してる!」と何度も叫び、 抱きしめていた。X+10日、夫と息子たちからのプレゼントを受け取った日に永眠。【結語】心に刻まれる 言葉を残せるよう、できる限りのことはやったと思えるよう、「大切なひと、大切なことと、大切なときを 生ききる」ためのお手伝いをしていきたい。
13 苙口 淳 共生ホーム よかあんべ 管理者 その人らしく最期まで生ききる暮らしを支援する~ハスミさんとことゑさんの最期から学んだこと~
 私たちは、昨年度4名の方の最期を経験した。それぞれが、認知症の疾患を持ちながらも、最期までご 家族や地域の方とのつながりを継続し、自宅や当事業所での生活を送られた。今回、その中のT氏とH氏の 事例を紹介したい。T氏は、入院を必要とする状況がありながらも当事業所での暮らしを選択し、最期はご 自宅で孫の結納を見届け息を引き取られました。H氏は身寄りがなく、成年後見人や生活保護を利用され、 当事業所での生活を送りながらも、ご自宅の存在を互いに忘れず、最期はいつも近くにいたご利用者やス タッフ、地域の方に見送られた方です。  お二方の死は、それぞれに大切にしてきたご家族や、ご本人を気にかけてきた地域の方々がその死をど う受け止めることが必要なのか考えさせていただく貴重な時間をいただいたと思っている。その時間とい うのは、最期の瞬間だけではなく、出会ってからどのように積み重ねてきたかが問われていることなのだ と考えた。
14 前田 晴香 グループホーム あもり 介護支援専門員 グループホームあもりにおける今までの看取りと今後について
 グループホームあもりは平成16年4月に開所し、1棟9名、2ユニットで18名の入居施設です。母体 は社会福祉法人で障碍者福祉を行っております。当グループホームは介護職が現在14名で看護師は在職し ていない期間が多いですが現在1名で入居者様の介護を行っております。当グループホームでは開設当初 よりご本人、ご家族のご希望により当グループホームでの看取りを行っております。これまでの入居者総 数は45名のうち看取りが12名、医療機関への入院が5名、他施設への入居が7名、その他自宅への退居 が1名となっています。  今回当グループホームで経験した問題や課題となる事例を病歴や死因等を含めて振り返り整理しました。 看取りを行った事例、搬送し問題になった事例、急変の事例等をまとめました。今後の課題として急な変 化が起こった時の過程と、最も大事なことは平素からご家族との関係性をしっかり作っておくことが大切 であることを再認識しました。
15 下原田 明子 医療法人春成会鵜木医院 訪問看護部 看護師 「・・・したい」の思いに寄り添い「生ききる力」を支える〜終末期における在宅療養支援診療所(有床)と多職種連携〜
 在宅終末期医療に関わる訪問看護師が、在宅コーディネーターとして担う役割は大きく、終末期をどこ で過ごすか、患者・家族の価値観と暮らしの多様性を踏まえ、揺れ動く心に寄り添い、様々な選択肢を提 案し「生活の質・人生の質」の向上に努め、多職種連携で、自分らしく「生ききる力」を支援する体制を整備 する必要がある。  当訪問看護が関わった在宅がん終末期患者3事例から、在宅死に共通する重要因子が明確化され、また、 在宅療養の継続を困難とする要因も見えてきた。死にゆく人の「生ききる力」を支えるため何が必要なのか、 何ができるのかを訪問看護師の立場から検討したので報告する。