NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会5 地域で支える認知症ケア

 

5.地域で支える認知症ケア

座長 金田 弘子  医療法人社団もりもと
   常見 裕之  認知症の人と家族の会 鹿児島県支部 代表

キーワード 基礎理論、BPSD、人材育成

趣   旨
平成21 年より「認知症の重度化予防実践塾」の講師を務めている。実践塾は年に複数回の研修を、ご家族・サービス事業者・地域包括等が一緒に、①ふだんの体調(水分・栄養・排便・活動)を整え、認知力を高めること。
それでもBPSD を呈すれば、②人生歴を知りプライドを大切にした関わり方で平穏な心理状態を保てるといった基礎理論を講義・演習で学び、毎回、事例の介護実践の宿題を義務づけている。宿題は次回の研修時に振り返り、 講師がコメントをすることでより実践に即した研修内容である。
塾生は徐々に「認知症は予防できる!改善できる!」という意識に変わり、専門職だけでなくご家族が、認知症ケアを理解し実践した結果、全国各地で開催している実践塾では8割もの認知症の症状が改善している。また、塾生が次の塾生のスーパーバイザーとして育つなど人材育成も行われている。誰もがよりよく生きる社会の実現を目指し、全国の自治体で広まりつつある。

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 西川 あけみ 社会福祉法人紘徳会 輝北在宅介護総合センター 介護支援専門員 地域で支える認知症ケア~居宅介護事業所としてできること~
 当事業所のある鹿屋市輝北町は総人口3,308人、65歳以上の高齢者数1,407人、高齢化率43%である。 (H28.5現在)世帯の特徴として、独居や高齢者夫婦世帯が多い。我が国では65歳以上の7人に1人が認 知症で、認知症が原因で行方不明となった方が平成24年で9,607人、平成26年で10,783人と年々多く なっており、認知症及び高齢者を地域で支える事が一層必要となっている。  当事業所では、平成24年より認知症の普及活動として認知症サポーター養成講座、オレンジサロン(認 知症家族会)徘徊模擬訓練、いきいきサロン、介護保険教室など認知症の普及活動や介護予防活動を実施し てきた。その中で地域の方から、「認知症を理解できた」「参加して良かった」などの意見が聞かれ、認知症の 理解を徐々に得ることができている。活動する中で広報方法やネットワークつくりなどの課題も見えてき た。今後も継続して実施していきたい。
02 上原 悠矢 社会福祉法人 山陵会 特別養護老人ホーム フラワーホーム 介護福祉士 小規模多機能施設における地域との関わり
【目的】地域との繋がりを継続していくために、いかにして地域住民の方々の協力を得ることができるか。 【方法】1.お茶ったもんせ事業所のある地域にて高齢者の方々が集まり交流が出来る場を提供する。 2.敬老会利用者、1人ひとりが暮らしている地域の敬老会への参加にて、継続した地域住民との関わり 支援。3.Γゲートボール今まで活動していた地域でのゲートボール活動の支援。【結論】1.途切れてい た関係性を修復することができ、生きがいにも繋がっている。2.職員にとっても1人ひとりの生活歴を 知ることやその方が暮らしていた地域との関わりがいかに大切なのか知ることができた。3.Γ地域の方々 から「私たちが見ておくからいいよ」と声かけをもらい見守りなどの支援をして下さるようになった。
03 齊藤 匠真 社会医療法人北斗 北斗病院 言語聴覚科 臨床心理士 当院外来「記銘力低下」受診者の実態からみた認知症診療の問題
目的 社会的問題である認知症の早期発見や継続的な診療を円滑に行うために認知症データベースを作成 し、実態を調査することで地域の認知症診療やケアへのフィードバック等に役立てることを目的とした。 方法 平成27年7月〜平成28年6月までの1年間に「記銘力低下」を主訴に受診した79名(平均78.4歳) を対象に、MMSEの詳細、福祉サービスの利用状況、居住形態等を調査・検討した。結果/考察 MMSE の平均点は17.9であった。患者居住形態では13%が独居で、その内90%が福祉サービスを利用しておら ず、独居患者の80%はMMSE23点以下の軽度以上認知症であった。独居高齢者は外界との交流機会が乏 しいため、早期発見が難しく、認知機能の低下が進行してから受診に至っている傾向がうかがわれた。そ れゆえ、最も接触の可能性がある近隣の開業医の役割は大きく、円滑で有効な認知症診療にはかかりつけ 医との情報共有や連携が重要と考えられた。
04 小浦 幸作 医療法人啓友会 グループホームめぐみ 介護士 グループホームでの“ユマニチュード”へのとりくみ ~みんなで笑顔になろう~
 当事業所は、医療法人啓友会が母体でGH、デイケア、デイサービス等のサービスが同敷地内にあります。 前回北海道の集いで、ユマニチュードの講演を聞き感銘をうけました。自分の職場に戻り、職員に自分の 介護を振り返ると共にユマニチュードの技術も身につけながら利用者様に笑顔になってもらいたいと思い、 G・Hで実践した事を発表したいと考えました。ユマニチュードは怒りっぽい・意欲がなくなるなどの症状 を見せていた認知症の方に大きな効果が見られたそうです。  その結果、認知症の方だけでなく、ケアに関わる全ての人が穏やかに過ごせるようになり、機械的に介 護したり、利用者の自由を奪う事をしないユマニチュードは、介護側にとって喜びや楽しみを見つけやす い方法と思い、認知症になっても(人との関わりを全うしよう)というこの介助方法を、今回実践し利用者様・ 職員の変化がみられた事例を発表します。
05 石津 公基 有限会社あんのメディカル ハートホーム小郡 脳活性リハビリ 介護福祉士 農業デイサービスとしての取り組みについて
 在宅医療・介護が最も充実しているオランダでは、10年以上前から様々な政策が繰り出されており、中 でも注目を集めているものに「農場ケア」がある。当事業所では、以下の取り組みを行った。農園には基本 的に毎日通う事とし、ほぼ同じ時間の午前中に赴く。農園のお手伝いや生育の観察、歩行訓練を兼ねた外 出訓練とする。毎月、MMSE、10m歩行、開眼片足立ち、握力の計測を行い、どのように改善するかを 評価。その結果、ADLの改善はほとんどみられなかったが、MMSEは、平均2〜3点の改善がみられた。  また、農作業を通じて、自分が他の人の役に立っているという事や、仲間と一緒に取り組んでいる事に 喜びを感じ、植物や動物と接し、土や緑を見て感じることで昔を思い出したりと、表情良く作業をしていた。  自然の中で皆と働く事は気持ちが良く、上記にある事で脳活性になり認知症ケアにも繋がっていき、そ の人らしい生活にも繋がると考える。
06 小林 翔 有限会社 ティー・エム・メディカルサービス 介護保険事業所てらど 介護職 メディア・セラピーの試み ~共感、そして関係性の構築へ~
 フォローアップ
高知大会以降4大会継続して報告している「思い出の映像により人生を巡る」取り組みを継続し、ご本人・ スタッフに加え他の利用者も巻き込んだ取り組みを行った。その効果について報告する。これまでの映像 を用いた取り組みから、ある利用者の思い出の写真を皆で見ることで、同じ時代を生きライフイベントを 経験した他の利用者とのコミュニケーションが豊かに生まれるのではないか、他の利用者も自らの物語を 語るきっかけとなるのではないかと仮説を立てた。  今回の取り組みでは、共有スペース(リビング)でご本人・スタッフ・他の利用者が一緒に映像を見なが らコミュニケーションをとった。1人の利用者の思い出の写真から、周囲の利用者も自らの思い出を語り、 笑顔になる時間が生まれた。映像が一目瞭然にその人の物語を語った時、その場所・その時を共有した人 たちは、認知症の人の苦しみ・辛さを和らげ軽くする関係性を築く第一歩を、共に踏み出している。
07 安里 咲乃 社会福祉法人紘徳会 グループホーム コーポラスいちなりの郷 介護士 役割から生まれる笑顔~小さなグループホームだからこそ、大きな輝きを~
 本文当グループホームでは、日常生活での機能訓練・生きがいづくりのため、利用者様に役割を持って いただいている。洗濯物たたみや食器洗いなど、過去に体験したことがあるものを役割とすることで潜在 能力に働きかけ、ADL・QOLの向上を目指している。利用者様に自分の存在価値を見出して頂く取り組み を継続する中、二名の利用者様の間で仕事の出来栄えなどについて口論となりトラブルが発生した。そこ で、なぜトラブルが発生するのかという原因分析を認知症の行動・心理から捉え、スタッフ間で対応策を 考えた。中核症状と本人が持ち合わせた性格や環境に起因する理由を総合的に考えることで、認知症の方 の言葉や態度の本当の意味を理解することができ、それを理解した上でスタッフが関わることで、BPSD に変化がみられた。今回は、その取り組みから見えてきた成果と課題を報告したい。