NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会6 口腔ケアと栄養管理

 

6.口腔ケアと栄養管理

座長 大川 延也 大川歯科医院
   福原 和人 鹿児島県歯科医師会 理事

キーワード 在宅で生活復帰、口から食べること、お薬飲めてますか?、栄養改善、
      摂食・咀嚼・そして嚥下、食べたら出す、便秘改善

趣   旨
各地域医師会と行政が中心となり地域包括ケアシステムをH30 年3月までに構築をしなければなりません。H27 年度の1年間で各地域ではそれぞれの地域特性にあったケアシステムを多職種と緊密な連携をとり、準備が着々とすすみ始めていることでしょう。病院から出された患者さんたちは、何らかの障害をかかえながら在宅で生活復帰しなければならず、在宅で生活するということは、まず第一に「食べること」「栄養を摂ること」を考えなければなりません。それも、ただ“生きるためだけの栄養”ではなく、“元気になるための食生活”でなければなりません。
だからこそ、この地域包括ケアシステムの構築が必要なのではないでしょうか。
地域で活動している医師、歯科医師をはじめ、多職種、そして地域行政の方々、この実践交流会でそれぞれの立場から、それぞれの現場での実践から見えること、問題点を発表していただき、みんなで考えていきましょう。
元気になるために!

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 浜田 沙織 社会福祉法人紘徳会 介護老人福祉施設 みどりの園 歯科衛生士 口から食べ続けるためのオーラルマネジメント~食べることは生きる事~
 人間が人間らしく生きる上で、口から食べることは欠かすことのできない大切な条件である。摂食・嚥 下機能の低下した高齢者は、残された口から食べる能力を使って栄養摂取しながら、機能回復のための口 腔リハビリを行うことが重要である。口腔リハビリは、機能回復のみにとどまらず、QOLの低下を防ぎ、 生きる喜びと意欲をもたらす重要な働きをもっている。  歯科衛生士と多職種で、専門的口腔ケア・口腔リハビリ・外部研修・アセスメント・OST(オーラルサポー トチーム)による評価・指導など様々な取り組みを行った。成果として、利用者様とのより深い信頼関係の 構築、意欲の向上がみられ、口腔リスクの早期発見・予防治療へ繋げることができた。  今後の課題として、口腔ケア・リハビリの継続、職員の知識技術の統一があげられる。多職種が存在す る法人であることを強みに、より良いオーラルマネジメントを展開することで、利用者様の生きる喜びに 繋げたい。
02 池崎 輝美 社会福祉法人紘徳会 介護老人福祉施設 みどりの園 管理栄養士 イキイキとした食生活のために~楽しい、美味しい、嬉しいの刺激~
 利用者様にとって食べる事は大きな楽しみの一つであり生きがいである。食事に関する取り組みや工夫 によって"お元気で食欲旺盛な利用者様""摂食機能の低下により食べる事に困難が生じている利用者様""食 思の低下により食べる意欲を失いかけている利用者様"、どの状況下においても食べる事を通して人生に潤 いがもたらされる事を目標にしている。  当施設では「食べたい物を選ぶ」「自分で作ったものを食べる」「雰囲気を変え外食気分を味わう」など、食 事の時間に楽しさ・嬉しさ等の刺激が加わる事が、その手助けとなると考え様々な取り組みを行っている。  また、一度は口から食べる事を断念した経緯をお持ちの利用者様に対しても、利用者様自身の「口から食 べたい」という思いの後押しを多職種連携で行っている。食べる喜びを最期の時まで感じていただけるよ う、利用者様のご要望を的確に把握しさらに発展させていきたい。
03 藤田 美香 社会福祉法人 山陵会 特別養護老人ホーム フラワーホーム 管理栄養士 特養ユニットでの調理 ―入居者と共に歩みたい―
(はじめに)当施設の多床室では調理を委託業者にお願いしている。ユニットケアは、介護が必要な状態になってもごく普通の生活を営むことが原点である為、平成16年2月にユニットを設立する際、新たな試みとしてグループホームと同じくユニット内で調理し食べて頂くことを始めた。
(目的)大量調理は別の場所での調理が基本だが、3ユニットの共同生活室にキッチンを配置し調理をすることで入居者にどのような影響を与えるのか調べた。(方法)3ユニットそれぞれに調理職または栄養士を1名配置し、朝昼夕すべての下処理・調理盛付・配膳を行い、食事介助、食事についての聞き取り、摂取状況も確認し対応した。(結論)常に入居者の状態・情報を調理職・栄養士・管理栄養士が一緒に共有でき直ぐに対応できる。又、入居者の身体機能の向上や入居者の持っている力を発揮し生きる希望に繋げる。
04 田中 由美 医療法人 社団 都会 渡辺西賀茂診療所 ホームヘルプステーション であい ホームヘルパー 訪問介護職員が高齢者の食に貢献できることは?
 私は入職して2年目のヘルパーです。日々訪問をし、利用者さんと接していると、利用者さんの生活の 中で食べる事が大きな楽しみになっている事を感じます。人が幸せを感じる時はいつでしょうか?色々あ ると思いますが、よく耳にする言葉が「あぁ美味しかった。幸せだ。」「落ち込んでいたけど、美味しいもの いっぱい食べたら忘れたわ」など、人は美味しい物を食べると嫌な事があってもその一瞬は忘れられるよう な気がします。しかし疾患があったり、歳を重ねて高齢になると、自分で調理ができない、義歯の使用に より食べられる食材が限られる、味覚が鈍くなる、嚥下がしにくくなる等の原因で食べる事の楽しみを奪 われがちです。  私達はその様な利用者さんに、もう一度食べる事の楽しみや満足感を感じ、ひと時でも幸せに思える時間を過 ごして頂く為に試行錯誤を繰り返し、その結果利用者さんに変化が見られたことをここに発表したいと思います。
05 原田 亜紀 医療法人啓友会 啓友クリニック 管理栄養士 これからの管理栄養士の役割~管理栄養士業務からみえてくること~
 医療法人啓友会の管理栄養士業務として、なかじま診療所では、個別栄養指導、集団栄養指導(生活習慣 病教室)、特定保健指導、訪問栄養指導などがあり、啓友クリニックでは入院患者様の栄養管理や通所サー ビス利用者様の栄養管理などがあります。それぞれの栄養指導を通して、食事は楽しみであり、活動源で あり、生命に直結しているものであると実感しています。  その楽しみが単なる厳しい食事制限で苦痛とならないように栄養指導ではなく栄養相談として、また食 べられない方が食べられるように、一人一人にあった食生活を提案するように心がけています。その方に あった食事を提供し、食事を楽しんでいただけたときの患者様のイキイキとした表情を見ることができる ように日々努力しています。
06 永田 さゆり 社会福祉法人 青藍会 特別養護老人ホームハートホーム宮野 介護福祉士 口腔機能維持管理加算導入後の取り組み~口腔ケアを学ぶことによる意識の向上~
 近年、当特養での口腔内に何らかのトラブル(歯痛、折歯、義歯等問題)をかかえる入所者様が多く見受 けられ、対応に苦慮していた。治療が必要な方については近隣のクリニックに通院していたが、認知症や ADLの問題がある方は通院治療も困難な状態にあった。そのことにより齲歯、歯の欠損、義歯の不具合で 不衛生な状態を引き起こし、誤嚥性肺炎や食事形態の低下等の影響が出ていた。  この状況を改善するため、2014年9月より特養への往診可能な歯科医の提携可能になり、入居者様の「口 腔機能維持及び機能回復」を目的とした取り組みが開始できることになった。同時に介護スタッフ全員を対 象とした勉強会を月に1回行い「口腔ケアの基礎知識の習得」、「口腔リハビリの方法」等を学んだ。さらに歯 科医の指導により、個別の口腔リハビリの計画・実施、個別の口腔ケア方法の確立に取り組んだので、そ の結果と問題点を報告する。
07 古川 慎太郎 社会福祉法人 野の花会 老人保健施設 ラポール吉井 理学療法士 運動後30分以内のBCAA補給による効果~リハたいむゼリーによるADL向上への近道~
【目的】低栄養状態でのリハビリは筋委縮、機能低下を招き栄養状態の悪化をもたらす可能性があり、栄養 付加し低栄養状態を改善することで身体機能低下を防ぐと言われている。今回、ADL向上を目的に管理栄 養士とともに栄養状態に合わせたリハビリの提供に取り組んだ。【方法】多職種で栄養状態とリハビリ内容、 ADLについて協議し対象者の選定、栄養補助食品(リハたいむゼリー)を選択する。週3回、パワーリハ、 リカンベントを実施した後30分以内にリハたいむゼリーを補給してもらう。下腿周径、10m歩行、FIM、 握力、Alb値、MNAを1ヶ月毎に評価を行った。【結論】今回の症例では、BCAA補給により低栄養状態の 改善、FIMの向上に繋がった。介護保険下でのリハビリは入居施設・在宅サービス共に週2〜3回の実施 が一般的である。今回の結果から、運動後30分以内にBCAA補給を行うことで少ない回数でも効率よく栄 養状態・運動機能の向上に繋がる事が示唆された。
08 水野 敏江 医療法人 あいち診療会 のなみ訪問看護ステーション 看護師 在宅を支える在宅栄養管理の実践に向けて
 フォローアップ
あいち診療会では、開院当初から「受け手になった時、安心できる医療システムの構築」を理念に、その 人が住み慣れた地域でその能力に応じた自立した日常生活を営むことが出来るように、医療のみならず介 護・生活支援・介護予防を積極的に支援するための場所やシステムを提案してきた。  その中でも在宅栄養管理は、健康増進・介護予防から介護・医療の全般にかかわるため、地域包括ケア システムの軸になりうるものであると考える。  昨年から私たちは、杉浦地域医療振興助成を受け、当院が在宅サービスを行っている51名に栄養評価を 開始した。その結果いくつかの知見を得たので、関わり始めた症例とともに報告する。