NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会7 これからの地域包括ケア

 

7.これからの地域包括ケア

座長 大澤 誠  医療法人あづま会
   黒岩 尚文 全国小規模多機能型事業者連絡会 副理事長

キーワード QOL、包括的、地域的、自治的、住民、ボランティア、医療、医療、福祉、保健

趣   旨
家族や地域の自治組織の変化を背景に、介護の社会化として介護保険制度はスタートしたわけだが、その変化した家族や地域の自治組織を再構築して、それらを機能させることが、「地域包括ケアシステム」には求められている。皆さまの地域では「地域包括ケアシステム」づくりへの動きは活発化しているであろうか?おそらく、本ネットワークに所属するかなりの医師会員のところでは、いわゆる「ミニ複合体」を形成し、包括的な取組みを地域で展開していることであろうが、医療は元来、フリーアクセスで、そのキャッチメントエリアはかなり広く、また、住民の参加の有無という点からも、その複合体は「地域包括ケアシステム」とは、似て非なるものである。
ぜひ、皆さまの地域の、住民を巻き込んだ「地域包括ケアシステム」づくりに向けた動きを教えていただきたい。
私たちの求めるQOLは個々に異なり、さらにそこに至る過程も、それぞれ異なっている。
望むらくはその個々のニーズを満足させることの出来るシステムになることを祈っている。

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 市瀬 小百合 社会福祉法人紘徳会 おおすみ日輪館(小規模多機能ホーム) 介護支援専門員 小規模多機能事業所における看護師の役割~地域に愛される看護師を目指して~
 小規模多機能事業所は、住み慣れた家や地域で生活しながら、通いを中心に泊まり・訪問の3つのサー ビスを組み合わせて提供する地域密着型サービスである。その中で看護師は、利用者様が出来る限り在宅 で生活ができるように援助する事はもちろん、地域の方々との交流を通し、健康作りや介護予防に努め支 援していく役割がある。開設して2カ月の取り組みを通し、小規模における看護師の役割について取り組 みを報告する。 <具体的な取り組み>【1】地域を知る【2】利用者様・家族へのアプローチ【3】地域との関わり<課題>【1】小規模 多機能事業所のサービス内容についての情報や特性を多くの方に理解して頂くための広報活動【2】24時間365日 対応型サービスなのでスタッフの力量の問題やターミナルケアにおける介護・看護ができる体制作りの強化が必要 【3】地域密着型サービスであるため、地域の方が気軽に立ち寄ったり、健康相談の窓口になるような事業所作り
02 斎藤 忠雄 斎藤内科クリニック 医師 地域包括ケアシステムを地方自治の規範的統合と看護小規模多機能型居宅介護で支える
【始めに】「地域包括ケア」は住み慣れた家や地域で医療、介護、福祉の専門職らを結び付けるが、共通の認 識(規範的統合)が必要となる。新潟市で始まった取り組みを看護小規模多機能型サービスの有用性と共に 紹介する。【方法】新潟県在宅医療連携モデル事業で採択された斎藤内科クリニックの医療・介護の拠点整 備を基に、在宅医療・介護連携支援センターを新潟市独自の形態で整備した。また、看護小規模多機能の 取り組みを紹介する。【結果】カンファレンスでは専門職が講師となり講義・グループワーク・発表を行った。 また、診療所内に在宅支援室を設置し、病院・介護事業所や診療所等からの窓口となり、またチームケア を基本に在宅看取りを実践。この結果、在宅医療介護連携支援センターのモデルとなり、新潟市独自の形 態で、新潟市全8区に整備された。【まとめ】医療と介護連携を実現し、地方自治とで地域包括ケアを支えた。
03 植村 貴子 社会福祉法人紘徳会 介護老人福祉施設 みどりの園 総務課長 地域交流が生む地域の安心安全~地域貢献活動を通して~
 紘徳会のミッションである《高齢者福祉事業を通して社会貢献を行うことにより輝北町における幸福で安 心な生活を創造する》を目的とし、地域貢献委員会及び青色防犯パトロール隊を発足し、活動して参りまし た。地元の方々に、紘徳会が「地域に根差した施設」であることを知って頂き、そこから安心感を得て頂く 為に、送迎車両で町内を走り回る事、町内の清掃活動や危険箇所のパトロール等を通して、私たちのでき る「安全と笑顔に満ち溢れた地域づくり」に励んできました。  成果として、地域と地域、地域と紘徳会が交わり意見交換を実施する機会の提供と、適切かつリアルタ イムな情報発信が信頼に繋がりました。また、地域に暮らす人々の生活課題や福祉ニーズの把握とそれに 対する素早い対応を積極的に行う事も、信頼と安心に繋がると実感致しました。今後も、地域住民の安心 安全を提供すべく集える場所の提供と、地域のパトロールを継続していきたいと思います。
04 石原 弘子 医療法人 あいち診療会  看護小規模多機能型居宅介護支援事業所 憩いの庄 ケアマネージャー 看護小規模多機能型居宅介護事業所の一つの役割
 一般に脳出血の場合、急性期の治療後、リハビリ目的で転院し、安定してから在宅復帰します。今回、 脳出血により、四肢麻痺になり、気管切開下に経管栄養を受けている70歳の女性に関わりました。主介護 者である夫は転院後の医療に納得せず、自宅で元気にすると、半ば強引に退院されました。  特別指示による連日の訪問看護と訪問介護を併用し、経管栄養や気管カニューレの管理、おむつ交換な どの指導をおこないました。状態の安定後PT、STを導入し、デイサービスの参加と活動を広げました。 他職種が頻回にカンファレンスをおこなうことで、経口摂取を開始し、気管カニューレの抜去へとリハビ リは進んでいます。本来回復期リハが対応すべき病態でも、地域の状況、本人、家族の希望などで早期に 帰宅する症例は存在します。看護小規模多機能型居宅介護は、このような状況に対しても、役割を発揮す ることができることを報告します。
05 中島 麻衣子 医療法人あづま会 高齢者相談センター 東   診療所が委託された地域包括支援センター
【はじめに】直営一か所であった地域包括支援センターが平成28年4月より高齢者相談支援センターの愛称で、市内に9か所に設置さ れた。そのうち、東地区においては、診療所である当法人が委託を受けた。【目的】もともと医療におけるキャッチメントエリアは広く、 当法人においても隣接する他市他県に及んでいる。一方、地域包括支援センターの対象範囲は限定しており、当法人においてはたった、 数百メートル先の他地区は対象範囲外となって、戸惑いは禁じ得ない。また担当の地域活動(コミュニティ・ソーシャルワーク)をど のように展開していくかも大きな課題である。【方法】担当地区外の相談対応方法を再確認し、また、担当地域の実態把握として、地 区民生委員へ活動の現状や課題などアンケート調査を実施した。【結果】担当地区外の相談についての連絡調整方法を確立し、また、 担当地区においては、地域包括支援センターにおける周知活動の強化を検討した。【まとめ】地域包括支援センターはキャッチメント エリアが限定された地域の総合相談窓口ではあるが、まずは目の前の高齢者の生活上の「困りごと」に耳を傾け、そして一人ひとりの ベスト・インタレスト(最善の利益)の追及を積み重ねるところから、地域におけるさまざまなネットワークづくりに取り組んでいる。
06 佐々木 穣史 医療法人社団 実幸会 いらはら診療所 ケースワーカー 在宅医療・介護連携に関する相談窓口業務の報告
 H27年度より地域支援事業の中で、在宅医療・介護連携推進事業として8項目の事業内容が示された。  2025年問題を前に、地域包括ケアシステムの中において在宅医療と介護の連携は必須であり、相互の 切れ目のないサポートが求められている。当院では、H26 〜27年度に、在宅医療・介護連携推進事業の モデル事業として、在宅医療連携拠点事業を松戸市より委託、業務を行った。  このうち在宅医療・介護連携に関する相談支援窓口業務について報告し、地域包括ケアにおける在宅療 養支援診療所としての役割と求められるものについて考察する。
07 赤峯 慎太郎 ハートクリニック 事務長 一医療法人の主催する市民公開講座「介護医療連携懇話会」の意義を検証する
 医療法人 優心会は在宅療養患者180名程度を受け持つ有床の在宅療養支援診療所であるハートクリ ニックを基幹とする医療法人です。この夏、数えて4回目となる「介護医療連携懇話会」の開催を無事終え ました。当初、業務上直接関わりのある介護医療事業所の障壁をなくすべく、共同勉強会ということで始 めたものですが、4年前より連携懇話会と命名し、昨年の3回目からはより広く市民公開講座となり、会 場も最大300名収容の市民ホールを借りての開催となりました。  一クリニック(医療法人)が担うには規模が大きくなり過ぎたのではというキライも感じながら今後のこ の懇話会の持つ可能性を第4回来場者アンケートより検証してみる。
08 黒瀬 義央 社会福祉法人 野の花会 介護老人福祉施設 アルテンハイム加世田 生活相談員 トータル支援パスで思いをつなぐ~地域包括ケアシステムの中核施設を目指して~
【目的】認知症があっても安心して暮らせるまちづくりをテーマにトータル支援パスを活用することで、お 客様と御家族の満足度を高めている。住み慣れた地域でお客様の生活を支援していくには医療・福祉・保 健そして地域の連携は不可欠であり、情報共有できる効率的な支援パスシステムの構築を目指した。【方法】 H20年10月からH24年3月までニッセイ財団高齢社会先駆的助成事業の補助を受け、地域の医療・福祉 機関・行政・福祉大学学識経験者や研究機関、地域づくりのNPO法人、お客様自身の立場から意見を頂け る方の約20人で運営委員会を構成した。共通のシート作成や専用端末を各事業所へ配布した。【結論】急な 入院・サービス利用時に生活歴・経緯等をすぐに把握でき、状態変化を地域全体で共有できるようになった。 今後も支援パスを活用して地域全体でお年寄りを見守れる環境を作り、安心した形で自宅へ帰って頂ける 施設であることを地域に発信していく。
09 横山 啓明 特定医療法人フェニックス フェニックス総合クリニック デイケアセンターA 作業療法士 新たなイノベーション『介護予防・日常生活支援総合事業』を考える~2025年、本人家族の新たな心構え(覚悟)に向けて~
 団塊の世代が75歳以上となる2025年に向かって、通所型サービスにおける新たな方向性として『介護 予防・日常生活支援総合事業』の整備が始まっている。要支援者等の能力を最大限に活かし、フレイル(虚弱) に陥らないように、生きがい、役割をもって社会参加できるための支援が目標となる。  当法人は市内デイサービス利用の要支援認定者の4割を占めており、これまで市内事業所の先頭に立っ て、サービスを必要としない状態を目標に、心身機能の状態に合せ機能回復訓練を重視した運動特化型デ イの運営を推進してきた。また『総合事業』の目標である、支援を受ける側から支援する側(ボランティア等 の担い手)として参加・活動する仕組み作り(デイサービス)にも既に着手している。2025年に向け、本人 家族の心構え(覚悟)を新たにし、市の動向と歩調を合わせながら、地域の支え合いの体制つくりにおいて 新たな価値観を創り出している法人の取組を報告する。
10 三原 千春 医療法人 あすか あすか居宅介護支援事業所 介護支援専門員 住み慣れた地域で「自分らしく生きる」を支える
 昨年「ご家族と共に生活リハビリを実践して」と活動座位を基本に、「排泄」「入浴」を通して人として当たり 前の生活を実践した生活リハビリの成果を報告した。今回は「人として当たり前の生活」の実現からその後 「自分らしい生活」の実現に近づくことができた事例を報告する。  介護が必要になって「人として当たり前の生活」を守るのは当然ですが、それ以上にのびのびと自分のや りたいことができる「自分らしい生活」を支えるには医療と介護が連携することが不可欠である。健康にな れば生活の質が上がり、生活の質が上がれば健康になれるという車の両輪と言える。  また、介護が必要になったご利用者が住み慣れた地域の暮らしを継続するためには、地域にニーズを発 信し、地域の力を活用する「助けられ上手」になることも必要である。
11 原田 俊樹 鹿屋長寿園   地域課題解決に向けた社会福祉法人恵仁会の取り組み~ドライブサロン実践報告~
【取り組み内容】平成27年10月より鹿屋市高隅地区コミュニティ協議会・鹿屋市社会福祉協議会・社会福 祉法人恵仁会の協同でドライブサロンを開始した。本事業の主たる目的は買物支援である。毎週水曜日の 午後、高隅地区の住民を居住地から約30分離れたショッピングセンターまで送迎を行うものであり、当法 人の役割は車輌、運転手、添乗員を無償で派遣することである。現在登録19名、買物以外に、移動時の車 内がサロンとなり、昔なじみ方々の集いの場となっている。【取組みの成果】平成27年度26回実施(平成 28年度51回予定)サロン参加による生活と心身状況の変化、本事業の満足度についてアンケート調査を実 施(発表内で結果報告)【今後の展開】本事業の継続と啓発を行うと共に、これ以外にも我々にできる地域貢 献に取組み、住民と共に地域の課題解決に尽力していくつもりである。それにより社会福祉法人の存在意 義をより一層高めていきたい。