NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

実践交流会9 薬と生活

 

9.薬と生活

座長 金井 秀樹  やまと調剤薬局    沼田 真由美  鹿児島県薬剤師会 専務理事
趣   旨
 薬は治療に欠かせない手段の一つですが、多くの薬が毒という面を併せ持っています。このことを含め処方や調剤は法的に医療と判断されます。しかし服薬という点では様々な解釈がされています。服薬、特に内服における支援は、医療なのか介護なのか、医療者と介護関係者がお互い迷走し責任の所在が無くなっているような場合も見受けられ、結果として残薬や過量服用、ポリファーマシー等々という問題が生じています。生活介護力だけでなく服薬介護力をどうしていくのかという考え方も必要となっています。
 また、薬が毒という面を持つことから、それを使う患者さんの生活(食事、睡眠、排泄、身体の動き、認知など)に副作用というかたちで様々な影響を及ぼします。
 これらに対しどう情報共有し、対応していくのか・・・問題提起や実践的対策など多くの皆様からの発表をお待ちしております。

No 発表者氏名 所属先 職種 演題名
01 鶴野 健剛 プレイン株式会社 市成の薬局 薬剤師 認知症患者さんの服薬管理法と認知症治療薬の副作用について 当薬局の実践と課題
 当薬局は、高齢化が進んだ地域にあり、在宅業務も認知症の患者さんの服薬管理が中心です。基本的には、お薬カレンダーを設置して、多職種と協力して服薬確認を行います。多職種から情報を集めて医師へ報告を行い、必要があれば服用回数を減らせるように用法や処方内容の変更を提案します。それでも、飲み間違えがある場合は、多職種で担当曜日と時間を決めて配達します。この方法でも、確実に飲める半面、それぞれの職種の負担が増えること、患者さんの経済的負担が増えるなど様々な問題があります。情報の共有は、手軽にでき、はなれた家族まで共有できるようにすべきだと考えます。
 認知症があると副作用の把握も難しいです。本人さんへのヒアリングも質問を工夫し、かぶれなどであれば直接確認します。また、バイタルサインの記録を確認したり、介護をされる方にお話しをうかがったりすることで重要な情報に気づくこともありました。
02 菅谷 優美 友愛薬局小金原店 薬剤師 小児在宅医療の実践
【目的】当薬局では現在290名を超える患者に対し訪問薬剤管理指導を実施している。訪問対象者は高齢者が大半を占めるが、近年小児や若年者への訪問も増加している。今回、当薬局で訪問している小児・若年患者の概要について解析し、今後訪問薬剤管理指導の在り方について検討をする。
【患者概要】0歳児〜30代までを対象とした。経管栄養やTPN等の特殊医療の導入、小児適用外薬剤の処方例を挙げる。
【結果・考察】患者の成長に伴い処方薬剤の用量調節や剤形選択が必要となり、常に患者状態の把握が重要となる。小児在宅患者は比較的予後が良好であり、介護期間が長期にわたる症例が多い。よって薬剤師が長期にわたる訪問を通し介護者や多職種との信頼関係構築は在宅医療の充実上、極めて重要と考えられる。今後も薬剤師として小児在宅医療へ積極的に参画し、患者QOL向上、介護者負担軽減などへ貢献していきたい。
03 部坂 理恵子 有限会社あんのメディカル おごおり薬局 薬剤師 後発医薬品使用促進に向けての取り組み〜使用率75%をめざして〜
 少子高齢化が進む日本では国の医療費削減が大きな話題となっている。これまでも診療報酬、調剤報酬の改定毎に後発医薬品(ジェネリック医薬品)使用促進のため、処方せんの様式の変更、薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し、医療機関において後発医薬品を積極的に使用する体制の評価等、様々な取り組みが行われてきた。
 平成28年4月の改定も後発医薬品の使用を更に後押しする内容となっている。おごおり薬局では、平成24年から後発医薬品調剤体制加算をとるべく、後発医薬品の使用促進に取り組んできた。
 調査を開始した平成24年6月末の使用率は26.5%だったが、様々な取り組みにより徐々に増加し、平成28年3月末には75.2%を達成することができた。その他、新たに浮上した問題点や今後の課題についてここに報告する。
04 川畑 信浩 公益社団法人鹿児島県薬剤師会 地域医療委員会 薬剤師 腎機能を考慮した高齢者に対する薬物治療
 国は地域包括ケアシステムの構築を推進している。今後、医療依存度の高い高齢者が居住系施設で生活する機会も増えてくることが考えられる。実際、薬剤師が高齢者に対して調剤する機会が増えている。そこで薬剤師が薬の投与量について特に腎機能に注意していることを紹介したい。腎臓は血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出を行って尿を生成するという、体液の恒常性の維持をする重要な臓器である。加齢に伴い腎臓の機能(腎機能)は低下することが知られているが、薬剤の排泄についても加齢に伴い体内から排泄される時間が長くなる。腎機能の低下した高齢者に通常の用法・用量で腎臓から主に排泄される薬剤を投与すると薬物の血中濃度が想定されたものより高くなり、有害事象の起こる確率が高くなる。
 日常の窓口において腎機能の評価に基づいた服薬指導や処方提案等の事例の経験を得たので報告する。
05 赤池 剛 公益社団法人鹿児島県薬剤師会 地域医療委員会 薬剤師 残薬整理によるアドヒアランス向上の事例
【目的】鹿児島県薬剤師会では、「おくすり整理そうだんバッグ事業」として残薬整理による患者のアドヒアランス向上支援に取り組んできた。事業の目的の一つとして、飲み残し薬の状況を確認し、体調や効果、副作用をアセスメントすることで問題点を把握し、薬学的観点から患者の状態改善に努めることを挙げている。今回本活動に沿い、残薬整理をきっかけに服薬向上、生活習慣の改善、臨床検査値の改善が図れた事例を紹介する。
【方法】残薬整理を行った糖尿病薬服用中の患者様に、平成26年5月より残薬の傾向、服薬意識、病識の確認を行い、以降4か月に渡り、服薬向上の為の意識付けを行い、また血液検査の結果をもとに、治療・服薬意欲の向上を図った。
【結果】薬剤師が介入することで、残薬が減り、生活面及び臨床検査値においても有意な変化を得ることができた。今後も残薬整理の延長として、更に継続的な薬学的介入を行い、患者貢献につなげて行きたい。
06 後迫 成人 鹿児島県 肝属薬剤師会 ライフ薬局 副会長 「へき地」の在宅訪問
 今回は鹿児島県の大隅半島のいわゆる「へき地」での薬剤師の在宅医療の実例を ご報告する。
 自薬局から、片道22キロの山道を30分以上かけて訪問する。
 集落の中で孤立したご夫婦で、生活を維持していくこと自体が困難な事例ではあるが、薬剤師として在宅医療に関わっていく中で、様々な問題点が上がってきた。
 鹿児島県は全国的にみても高齢化率が高い地域も多く、また離島やへき地などを多くかかえ、超高齢社会としては日本の先進地域である。
 しかし、今後は全国でも同じような問題があちこちで起こってくる可能性がある。
 薬剤師の「へき地訪問」に関して、少し考えていただく機会になればと考える。