NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

大会2日目 シンポジウム 午前

 

市民公開講座② 『ご近所』が主役:地域包括ケアシステムへの取り組み

座 長      吉元 和浩(みどり明星クリニック院長)
シンポジスト   唐澤  剛(内閣官房 地方創生総括官)
         江藤  修(大分県杵築市 福祉推進課長)
         瀬口 和浩(株式会社ティーエスアイ 代表取締役)
         的場 公男(的場クリニック院長 鹿屋市)
         徳留 浩二(鹿屋市地域包括支援センター長)

 2025年問題、あるいは今後の日本にとって避けることのできない課題である超高齢化社会、少子化社会の到来を間近に控えて、その対応策の具体化として地域包括ケアシステムの計画、実施が全国をあげて声高に叫ばれている。地域包括ケアシステムのコンセプトは、介護が必要になった高齢者も住み慣れた自宅や、地域で暮らし続けられるように「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の五つのサービスを一体的に受けられるサービス提供体制のことである。そもそも「地域包括ケアシステム」問題は、「医療サービス提供体制の制度改革」と一体であると思われる。そのことは、「医療から介護へ」「病院・施設から地域へ」に象徴されるように、近未来に備えた「保健・医療・福祉」の具体的連携システム再構築と言えるかもしれない。このことを前提として厚生労働省は、包括ケアシステムの計画づくりのガイドラインを発表している。それによると、保険者である市町村や都道府県が地域の自立性や主体性に基づき、地域の特性に応じた「ご当地ケア」作り上げることが重要であり、「ご近所」が主役で「ご近所の力」が再び問われていると言える。
 地域包括ケアシステムの構築が各地で始められている中、すでに取り組まれていることだけでなく、見えてきた課題や、その課題をどう乗り越えていくべきかなど、深く地域包括ケアの未来を考えたい。

 

シンポジウム① 介護の為の離職ゼロを目指して

座 長      堀  仁美(保険局保険課課長補佐/前厚生労働省福祉人材確保対策室室長補佐)
シンポジスト
1.介護と仕事の両立
   概要と対策:徳田 雄人(株式会社スマートエイジング 代表取締役)
2.実際の体験者のお話
         杉本 夫妻(認知症支援カフェあみけるひろば 代表)
グループワーク
3.「介護と仕事の両立ができる社会へ それぞれができることは?」
ファシリテーター:徳田 雄人

 高齢者人口の増加とともに、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数は増加しており、今後、団塊世代が70歳代に突入することに伴いその傾向は続くことが見こまれている。
 介護者は、とりわけ働き盛り世代で、企業の中核を担う労働者であることが多く、企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくありません。
 そうした中、介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、介護を行う期間・方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。
 このため、厚生労働省では、育児・介護休業法に定められた介護休業制度などの周知徹底を図り、企業及び労働者の課題を把握し事例集を作成するなど、介護を行っている労働者の継続就業を促進していこうと施策も開始されている。この企画では(株式会社スマートエイジング 代表)徳田雄人氏に「介護と仕事の両立」に関する最新の知見と対策についてご講演頂き、次に介護と仕事の両立というテーマに直面した方の実体験を伺います。
 さらに、「介護と仕事の両立ができる社会へ それぞれができることは?」というテーマでグループワークを実施していただき参加された皆さんの経験も共有し、これから何が必要かを一緒に考えたいと思います。

 

シンポジウム② 医療・介護・保育人材 枯渇時代を突破する戦略

座 長      秋山由美子(社会福祉研究所研究員/前・東京都世田谷区副区長)
コメンテーター  苛原  実(いらはら診療所院長)
シンポジスト   香取 照幸(前・厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)
         古木 圭介(前・肥薩おれんじ鉄道社長)
         草場 鉄周(北海道家庭医療学センター理事長/
               本輪西ファミリークリニック院長/
               日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)
介護現場より・介護士(イケメン介護男子登壇)
         栗谷 信弘(鳥取こうほうえん)
         村添 拓美(アルテンハイム鹿児島)

 「医療・介護・保育」人材枯渇時代を突破する戦略において、香取照幸氏は(前厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)の立場から女性の継続就労支援、待機児童対策の緊急課題に保育人材確保対策の現状、今取るべき方策についてご講演いただき、人材確保については古木圭介さんよりご自分の体験を元に新しい発想などメリハリのある雇用についてお話しいただきます。草場鉄周先生には、医師特に家庭医の人材育成についてお話しをしていただきます。
 さらに、介護人材不足の中でこのたび新しい試みとして介護男子スタディズ(イケメン介護士)20名の写真展を開催、うち2名が登場します。介護職は現実とは違うイメージが社会に浸透してしまいましたが、現場では仕事に価値を見出し溌剌とひたむきに頑張る若い力があることも知っていただくための企画です。

 

シンポジウム② 「保育・介護人材確保に向けて」

シンポジスト 香取 照幸(前厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)

 保育・介護分野にとどまらず,人口減少社会を迎えている我が国では労働力人口の趨勢的現象が始まっており、総労働力の確保は安定成長の実現の観点からも重要な課題となっている。
 医療・介護は高齢化の進行を背景に実体需要が拡大していく分野であり,引き続き労働力需要が拡大していく分野である。また保育分野は両立支援・女性の継続就労支援の観点からマクロ経済との関係も含めてきわめて重要な役割を果たす分野であり,一億総活躍社会実現の要とも言うべき分野である。
 特に待機児童対策が緊急の課題となっている保育分野については、政府は人材の養成確保に尽力しているが現場での人材不足は深刻である。シンポジウムでは労働市場全体の中での保育分野の立ち位置、保育人材養成確保対策の現状を述べた上で、マクロの労働力需給、雇用管理、処遇、キャリアパス、法人経営改革等の観点から問題の所在を明らかにし、今後取るべき方策について当事者を交えた議論を進めることとしたい。

 

シンポジウム② 「人材募集の悩みと育成に付いて」

シンポジスト 古木 圭介(前肥薩おれんじ鉄道社長)

人材確保は企業や組織の命
でも現実は確保が難しくなっている。給与だけの問題ではなさそう。特に3Kと言われる業種は悩んでいる。
では若者をどのように確保していくのか、私の過去の体験をもとにお話したいと思います。
知覧カントリークラブでキャディの募集。
サンロイヤルホテル再建の体験;社員のモチベーションはどのように上がっていったのな。
夢と目標の組み合わせ。
メリハリのある人使いが望まれる。

経歴
昭和42年4月海外専門の旅行会社に入社
平成元年知覧カントリークラブの立上げに常務取締役として従事
平成4年7月第三セクターのサンロイヤルホテル再建に従事
平成21年6月より第三セクター・肥薩おれんじ鉄道㈱社長に就任、地域再生にも取組む。
平成26年2月からJR九州で旅行担当部長として旅行部門のコンサルティングに従事。
さらにNPO屋台村の理事長として活動している。

 

シンポジウム② 「在宅医療を担う医師の養成のために」

シンポジスト 草場 鉄周(北海道家庭医療学センター理事長/
             本輪西ファミリークリニック院長/
             日本プライマリ・ケア連合学会副理事長)

 在宅医療はこれまで地域で真摯に患者や住民に向き合う実地医家の手で担われてきた。出自は内科医、外科医、整形外科医、精神科医など多様であっても、芯にある医療理念は近寄っており、本ネットワークの中核にある医師の多くはまさにその代表である。しかし、医療の高度化・専門化に伴い、多種多様な健康問題への的確かつ迅速な対応はもちろん、患者の健康観や家族関係への理解、更には看取りという深いテーマへの関与という在宅医療に取り組むための素養を自然と身につけることのできる医師はますます減っており、今後もこの方向性が変わることはないだろう。
 2013年、国の専門医の在り方検討会にて、総合診療専門医の新設が決定した。扱う問題の広さと多様性が特徴であり、日常的に頻度の高い疾病や傷害に対応でき、地域の医療ニーズに対応する「地域を診る力」を持つ専門医である。また、他職種と連携して、包括的かつ多様な医療サービスを柔軟に提供することが求められ、その中に在宅医療や緩和ケア、高齢者医療が明記されている。早くて2018年から養成が始まり、2021年から世に登場することだろう。多くの医学生や研修医の関心を惹きつけており、大きなうねりをもって医療界に広がることが期待される。
 将来の在宅医療を担う医師は間違いなく総合診療専門医である。現在在宅医療の最前線を担うベテラン医師には是非後継者としての総合診療専門医の育成へのサポートを頂きたいと切に願う。

 

理事会企画 地域包括ケアの実現に向けて、今、わたしたちができること

座 長      小倉 和也(はちのへファミリークリニック 院長)
               全国の集いin はちのへ2017(次回大会)大会長
         桑原 由次(在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 理事)
シンポジスト   岡崎和佳子(有限会社菜の花 代表取締役)
         金井 秀樹(有限会社 ゆきぐにメディックス なのはな調剤薬局 代表取締役)
         長  純一(石巻市立病院開成仮診療所・石巻市包括ケアセンター長)
         西嶋 公子(医療法人社団公朋会 西嶋医院 院長)
         福田 善晴(医療法人大和会 理事長)

 診療所・市民全国ネットワークは地域ケアの充実、そのための地域ネットワークの形成、多職種協働、実践交流を掲げて歩んできました。しかし今、スタート時には『進んでいた』その理念・実践は、社会的状況の切迫、社会的認識の高まりにより先駆性は薄れたのではないかとの認識に立ちました。理事会では、現時点においての診療所・市民全国ネットワーク意義について議論を交わし、要約すると本会の特徴として以下の点が挙げられました。
 ① 地域包括ケアの必要性を早期から提唱し推進してきた団体であること
 ② 現場の医療福祉介護の専門職および市民による団体であること
 ③  上記を踏まえ、交流および情報共有と活動の支援を全国的に行ってきた組織であること
 この中で特に③を継続的に行ってきた団体として、現場の意見や活動を、国の理念や地域の行政の取り組みと結びつけ、実効性のある地域包括ケアシステムを実現するための支援を行うことができる団体として、本会は他の団体にはできない役割を担いうるものと考えられます。
 このような観点から、平成30年の自治体への地域包括ケアシステムの市町村主体への移行や、多死社会のピークと言われる2025年を間近に控え、本会としてどのような活動を行っていくべきかを検討し、次回以降の全国の集いのあり方や今後の活動方針に結びつける議論の機会としてこの企画を開催いたします。

 

シンポジウム③ 在宅生活をサポートする口腔ケア

座 長      福原 和人(鹿児島県歯科医師会 理事)
シンポジスト   中村 康典(独立行政法人 鹿児島医療センター 歯科口腔外科)
         貞村淳一郎(さだむら歯科医院 院長)
         西  恭宏(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科先進治療科学専攻
               顎顔面機能再建学講座口腔顎顔面補綴学分野(有床義歯補綴学))
         太田 博見(医療法人仁慈会 理事長・太田歯科医院 院長)

1.急性期における口腔ケア
  独立行政法人 鹿児島医療センター 歯科口腔外科 中村 康典
2.口腔機能維持の為の口腔ケア
  さだむら歯科医院 貞村淳一郎
3.食を支える口腔
  鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 顎顔面機能再建学講座
  口腔顎顔面補綴学分野(有床義歯補綴学) 西 恭宏
4.口腔を支える為の組織としての活動
  医療法人仁慈会 太田歯科医院 理事長 太田 博見

 地域包括ケアの構築にともない、在宅復帰が大きな課題であり、国が目指していく方向でもあります。口腔ケアが介護の分野で注目されて久しくなりますが、近年、医療の分野においてもその重要性が注目を集めてきております。口腔ケアが単に感染予防に繋がるだけでなく、その後の「食」を見据えたうえでの口腔ケアという概念が必要になってきているのではないでしょうか。病院や施設での食事はある程度管理された状態で供給されますが、在宅に戻った時にだれが食を支えていくのかが大きな課題になると思います。
 口から食べる為の器質的機能を回復させるのは歯科医の役目であり、その機能を維持管理していくのは歯科衛生士をはじめ要介護者を取り巻く家族や介護職の方々です。また要介護状態にある場合、口腔機能の低下や嚥下機能の低下は常に栄養状態の低下や誤嚥性肺炎のリスクと隣り合わせにあります。さまざまな職種が協働して口腔からの感染を防ぎ、安全に食事をするために何が必要なのか、皆さんで考えていきたいと思います。

 

シンポジウム④ 九州各地の取り組みの連携―九州在宅医療推進フォーラムを通して

座 長      太田 秀樹(医療法人アスムス理事長)(全国在宅療養支援診療所連絡会 事務局長)
         中野 一司(ナカノ在宅医療クリニック)(全国在宅療養支援診療所連絡会ICT 局長)
シンポジスト   二ノ坂保喜(にのさかクリニック 福岡 医師)
         白髭  豊(白髭内科医院 長崎 医師)
         満岡  聰(満岡内科消化器科医院 佐賀 医師)
         田島 和周(田島医院 熊本 医師)
         五反田満幸(五反田内科クリニック 鹿児島 医師)
         山岡 憲夫(やまおか在宅クリニック 大分 医師)
         外山 博一(外山内科神経内科医院 宮崎 医師)
         泰川 恵吾(ドクターゴン診療所 沖縄 医師)

 地域包括ケアシステム構築が基礎自治体の役割として委ねられ、在宅医療への期待がいっそう高まっている。このような社会的背景の中で、在宅医療助成勇美記念財団の支援協力による、在宅医療の普及推進を目指した在宅医療推進フォーラムが全国各地で開催され、在宅医療の普及に大きな力となっている。
 2006年4月の診療報酬改定で、あくまでも診療報酬上の位置として、在宅医療関連の保険点数が有利に評価される在宅療養支援診療所の制度が発足した。それを受けて2008年3月に全国在宅療養支援診療所連絡会(在支連)が組織され、翌2010年9月に在支連九州ブロック会(二ノ坂保喜会長)が結成された。
 九州地域でも、勇美記念財団の助成を受け、在支連九州ブロック会、九州訪問看護ステーション連絡協議会、全国薬剤師在宅療養支援連絡会九州ブロック会、各県地域医師会、薬剤師会、歯科医師会、看護協会等の後援をいただくなどして、2010年9月から、毎年一回、各県持ち回り方式で、九州在宅医療推進フォーラムを開催している。
 第1回 九州在宅医療推進フォーラムは、2010年10月31日に、二ノ坂会長が大会長のもと福岡市で開催された。本九州在宅医療推進フォーラムを通じ、第2回佐賀大会(満岡聰大会長)では“在宅ネット・さが”、第3回熊本大会(田島和周大会長)では“熊本在宅ドクターネット”が結成され、各県各地域での地域包括ケアシステムの構築に寄与している。
 また、第4回大会は、宮崎キュアケアネットワークにて外山博一大会長のもと宮崎市で開催された。第5回大会は、中野が大会長で鹿児島市において開催したが、鹿児島市では今年4月に鹿児島市医師会在宅医会(五反田満幸会長)が発足し、本シンポジウムでは五反田会長に鹿児島市医師会在宅医会の活動についてのご講演をいただく。
 昨年10月25日、26日には、大分市で第6回九州在宅医療推進フォーラム(山岡憲夫大会長)が開催され1000名を越す参加者を得た。また、今年10月29日、30日には、沖縄県宮古島で第7回九州在宅医療推進フォーラム(泰川恵吾大会長)が開催される予定である。また、来年は、白髭豊大会長のもと長崎市で第8回大会が開催される予定である。
 本シンポジウムでは、九州在宅医療推進フォーラムを通じての九州各地での在宅医療推進の活動につき、報告、討議予定である。また、このようなフォーラムの開催においては、さまざまな場面でICT活用が有益で、さらにメーリングリストによる意見交換は多職種協働への有効なツールとなっている。教育、啓発、学術活動におけるICT利用の優位性や今後のフォーラムの方向性についても、言及したいと考えている。
 なお、全国各地で開催されている在宅医療推進フォーラムの円滑な運営に勇美記念財団の功績は多大であり、心から感謝の意を表する次第である。

 

シンポジウム④ 〈チーム・にのさか〉から〈チーム・在宅(福岡)〉へ

シンポジスト 二ノ坂保喜(にのさかクリニック 福岡 医師)

 20年前の開院時に、クリニックの理念を以下のように定めた。
 (1)「地域のかかりつけ医」をモットーに
 (2)患者さんとその家族のために
 (3)職員とその家族のために
 (4)地域と共にあるクリニックをめざして
 (5)国際保健医療への貢献
 以上の理念のもとに在宅ホスピスを軸とした活動を地域で展開してきた。
 これまでに約800人の在宅看取りを行ない、患者・家族や在宅ホスピスの仲間たちから多くのことを学んだ。セルフケア・家族ケア・コミュニティケアへと視点の広がりを得ることができた。バングラやインド・ケララからも「コミュニティのエンパワーメント」の重要性を学んだ。
 当院は外来と在宅を柱とする無床診療所(連携機能強化型在宅療養支援診療所)。主な活動として、広報紙「ひまわり」(月刊、現在241号)・健康教室(毎週)・バザー・コンサート・講演会・地域生活ケアセンター『小さなたね』(重度障がい児支援施設)・地域ホスピス支援センター「エール」・地域での講演活動・『在宅ホスピスガイドブック』をはじめとする出版活動・在宅ホスピス事例検討会・在宅ホスピスを語る会・研修生の受け入れ(医師・看護師・学生・外国からの研修)と各地との交流・在宅ホスピスボランティア『手と手』など地域における多彩な活動へと広がりを見せてきた。昨年は福岡市在宅医療医会も発足、医師会、行政とのつながりも深まった。(シンポでは下線部のみ紹介)
 20年の歴史を振り返り、在宅への時代の流れを感じる。また世界のホスピス運動も、欧米のみならず途上国での発展にも目を見張るものがある。これからは日本のホスピス運動から世界へ発信する使命もあるのではないかと考える。

 

シンポジウム④ 長崎における多職種協働の実際

シンポジスト 白髭  豊(白髭内科医院 院長、認定NPO 法人 長崎在宅Dr. ネット 事務局長)

 2003年、都市部の診療所連携を推進する組織として長崎在宅Dr.ネットが発足した。Dr.ネットは、主治医・副主治医制によるチームで医師の負担感を軽減した一方、多職種で様々な連携を行なってきた。結成当初より独自の管理栄養士派遣システムを作り、2名の管理栄養士が複数の診療所において外来および訪問栄養指導を実践した。Dr.ネットと管理栄養士の連携を普遍化した形で、長崎県栄養士会は2004年にながさき栄養ケアステーションを組織し、外来や訪問の栄養指導に栄養士を派遣するようになった。管理栄養士が在宅で利用者家族とともに調理し、誤嚥性肺炎の再発予防につながり、介護者の自信、安心につながった症例を経験した。また、嚥下やがん患者の食欲に配慮したレシピ集、介護予防事業の一環として独居男性でも簡単にできるレシピ集を作成した。一方、耳鼻科医の嚥下評価ののち、栄養士による嚥下食指導、歯科医による入れ歯の調整、歯科衛生士による口腔ケアの導入により、食欲、咀嚼が改善し胃ろう導入を回避できた症例を経験した。医師、歯科医師、歯科衛生士、栄養士などの多職種がチームとして有機的に連携することで確かな成果が得られている。
 2011 〜12年には、病院と在宅の関係職種がチームとして力を合わせてそれまでバラバラだった指導方法等をまとめ「在宅における口腔・気管内吸引の手引き」、「在宅における胃ろう管理の手引き」、「在宅における腎ろう・膀胱ろう管理の手引き」を作成した。
 2008年より3年間、緩和ケア普及のための地域プロジェクト(OPTIM)を長崎で行った。これにより、地域の専門職種同士の顔の見える関係が構築され、病院より在宅移行する症例、自宅死率の上昇を認めた。また、Dr.ネットや栄養士に加え、薬剤師、訪問看護師、地域連携室、歯科医等の職種内のネットワークが広がった。2011年には、総合相談支援、緩和ケアや在宅医療等に関する啓発、在宅医療提供機関等との連携を行う長崎市包括ケアまちんなかラウンジが開設され、地域の有機的連携に寄与している。
 あじさいネットは、インターネットを経由して患者同意のもと病院の診療情報を閲覧できるサービスである。当初、病院からの一方向性のカルテ情報の提供であったが、診療所側からの写真や診察所見などの情報提供も可能となった。医師に加え薬局薬剤師、訪問看護師の参加も始まり、多職種での情報共有に有用である。このように、病院と在宅の連携、多職種連携、患者の望む療養場所の実現と緩和ケアの充実が実現しつつある。
 これまでの九州在宅医療推進フォーラムでは、長崎の多職種から様々な取り組みを発表してきた。2017年11月開催の長崎大会に向けて、2016年2月より多職種メンバーで実行委員会を組織し「病院と在宅の連携」をテーマとして準備を始めた。大会の準備を通して、多職種の顔の見える関係がさらに広がってきた。

 

シンポジウム④ 佐賀における在宅医療と多職種連携 〜在宅ネット・さがの取り組み〜

シンポジスト 満岡  聰(満岡内科消化器科医院 院長、在宅ネット・さが代表世話人)

 佐賀県は在宅死率が全国で最も低い県の一つである。「在宅ネット・さが」が発足した2010年当時在宅医療や介護に関する様々な制度や在宅医療を行なう医療機関や訪問看護ステーションなどの情報が乏しく、患者さんやご家族から在宅療養や看取りの情報ほしい、県内外の医療関係者からも在宅療養先の情報がないという声がしばしば聞かれた。また、患者さんの抱える問題は病気のみならず、摂食嚥下、栄養、認知症、薬、住居、家族環境など多岐にわたり、そうした問題に対処することは単一の職種では不可能で、地域包括ケアが必要であることは言うまでもなかった。
 そうした実情を踏まえて、一人ではできないことでも志を同じくする仲間とだったら在宅医療を進めていくことができるだろうと考え、多職種の発起人を募り、在宅医療に日頃から関わっている関係者に声をかけ有志約30名で「在宅ネット・さが」を発足させた。「在宅ネット・さが」は佐賀の在宅医療・介護に携わる医師、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚療法士、ケアマネジャー、ソーシャルワーカー、介護士、栄養士、施設管理者、医療介護事業者、大学職員、行政職などからなる従来なかった多職種連携ネットワークである。発足当初の会議は必ず宴会とセットで顔の見える関係作りを大事にした。
 在宅ネット・さがの主な活動は、2011年9月に第2回九州在宅医療推進フォーラム主催を皮切りに、年2回の市民公開講座の開催、2ヶ月に一回の症例検討会の開催である。市民公開講座の参加者は毎回約300人、症例検討会には毎回約70-80人が参加している。
 在宅ケアに必要な情報を網羅した佐賀県在宅療養ガイドブックは発足3年後に約40人の医療や介護の現場で実際に働いている専門職有志により1年半の時間をかけて2013年2月3日に木星舎に協力いただいて出版した。出版記念に行った第一回在宅ケアフェスタ・さがは大変な盛況で用意した240冊は即日完売し、現在も順調に売上を伸ばしている。
 「在宅ネット・さが」ができてからの、現場の一番大きな変化は、これまでなかった多職種連携が緊密に行われるようになったことである。基幹病院からの患者さんの紹介と退院時カンファレンスの開催が多くなり、どこにどの職種の誰がいるかの共通認識ができているため、患者さんの住居に近い訪問看護ステーションや訪問薬剤師、ケアマネジャーなどによる、患者さんごとのチーム編成がすぐできるようになった。
 こうした活動が評価されて、「在宅ネット・さが」は2013年JPAPオレンジサークルアワード、Best Education Model賞を受賞した。
 また、ITによる情報共有は在宅ネット内で勉強会をした結果、カナミックネットワークを採用する診療所が多くなり、チームメンバーを登録した結果、「在宅ネット・さが」内での患者さんの情報共有がスムーズになった。現在、在宅ネット・さがの構成メンバーは約220名となり、県下の地域包括ケアの推進に尽力している。
 発表では患者さんを中心とした顔の見える関係による多職種ネットワークによる地域包括ケアの実際を提示する。

 

シンポジウム④ 熊本在宅ドクターネットの取り組み

シンポジスト 田島 和周(田島医院 熊本 医師)

 4月の熊本地震では、皆様から多大なご支援をいただきました。大変感謝しています。  地震直後はライフラインが止まり、続く余震のために避難所生活や車中泊を余儀なくされる日々が続きました。壊れた家を目の前にしてなかなか一歩が踏み出せませんでしたが、皆様の励ましのおかげで、やっと生活の再建が始まりました。
 医療機関も甚大な被害を受けました。家が壊れ入院や入所を希望される要介護者が多くいらっしゃいました。被害が少なかった医療機関や施設のがんばりで、危機をしのぐことができました。九州在宅医療推進フォーラムの先生方から、広域避難のご提案などをいただきました。御礼申し上げます。
 地震は、日本国中、いつどこでおこるかわかりません。我々の経験が、皆様のお役に立てるように情報発信する事が、一番の恩返しと考えています。
 私たち熊本在宅ドクターネット(KZDN)の発足は、平成20年3月です。在宅医療に積極的に取り組もうという医師が診療を始めたころです。私たちは「長崎在宅Dr.ネット」を見習い、会をスタートさせました。「志を同じくする親しい者から連携の和を拡げる」という古典的手法で、発足時は22名であったメンバーは、8年で100名になりました。
 KZDNは、熊本市を中心とした医師の会ですが、県内各地で地域の医療資源を生かした様々な取り組みが生まれています。たまな在宅ネットワークは、平成20年2月にドクターネットとしてスタートしましたが、現在は多職種の会として多彩な活動を行っています。その他、人吉球磨在宅ドクターネット、きくち在宅医療ネットワーク、天草市のNPO法人「つなぐ」などが作られました。また熊本市内でも、在宅支援研究会「てとてとココロ」など、KZDNのメンバーが中心となり地域づくりの活動が行われています。
 熊本市を中心とした医療圏では、地域完結型と呼ばれる重装備の救急病院とリハビリテーション病院を中心とした連携が構築されていますが、慢性期の病床も多く、なかなか「住みなれた家で過ごす」という視点をもっていただけないという現状があります。
 昨今、熊本市などの行政との連携も重要になり、私たちKZDNは安定した会の運営のため、法人化にむけて準備を進めています。仲間を増やし、在宅医療の魅力を多くの方に知っていただく地道な活動を続けて行きたいと思っています。

 

シンポジウム④ 鹿児島市医師会在宅医会の取り組み

シンポジスト 五反田満幸(五反田内科クリニック 医師、鹿児島市医師会在宅医会会長)

 鹿児島市における在宅医療に係る医療資源は全国に比較し人口当たりの在宅支援診療所、訪問看護ステーションの数は平均を上回っているが、在宅での在宅死率は全国最下位の結果となっている。
 五反田内科クリニックでは平成24年4月より、9の医療機関で強化型支援診療所のグループを作り、定期的な連絡会、事例検討会を行っており既に52回を重ねている。毎月第四木曜日に開催する事より木四会と呼んでいる。医師だけの参加でなく多くの職種に呼びかけ毎回50 〜80名の参加者を得ている。木四会では多職種の顔の見える連携だけでなく学会出張時などの医師の不在時の24時間対応、看取り例の同行診療、緩和ケアの相談なども行っている。
 鹿児島市の在宅医療推進のため、在宅医療に関心のある医療機関に声をかけ在宅医会を平成27年12月に発足させ、現在141名の医師が会員となっている。木四会での活動を参考にして28年度の活動方針を決定している。その現在の取り組み状況、今後の計画について報告を行う。
1.定期的事例検討会(年4回)
2.鹿児島市在宅医会総会及び講演会・研修会について
  定期的研修会・講演会(年2回)、総会(年1回)
3.ホームページの作成
  ①在宅療養支援診療所・病院の情報提供
  ②ケアマネタイムの公表
  ③相談窓口開設
4.強化型在宅療養支援診療所のマッチング・斡旋
5.24時間対応支援体制の確立
  ①事前に個別の情報提供を行い、少なくとも1回往診をしておく方法。
  ②出張時などの場合、不在の時間を連絡し緊急時の対応を依頼しておく。
6.在宅での看取り支援体制
  ①在宅での看取り可能な診療所の登録、後方支援病院の連携室への周知。
  ②在宅での看取り未経験診療所に対して、強化型診療所の医師が同行診療を行う。
  ③緩和医療のスキルアップ、対処困難例に対し緩和専門医師が同行診療
  ④緩和専門病院、大学病院など主催の緩和勉強会の協賛、参加。
7.在宅支援診療所の連絡網(MLの活用)
8.運営委員会のMLの活用
9.厚生局届出のための支援
10.在宅での専門医による支援

 

シンポジウム④ 『地域在宅緩和ケアについて“大分市全体をホスピスに”』

シンポジスト 山岡 憲夫(やまおか在宅クリニック院長 大分 医師)

 大分県は全国で在宅死率が最も少なく、在宅医療が遅れている。大分市は人口47万人の地方都市であり、高齢化率が高いが診療所や病院は多く、介護資源も多い。ただ、大分市以外の大分県内では医療・介護資源は少ない
 当クリニックは7年前に、大分市に在宅医療・在宅緩和ケア専門クリニックとして開院し、“大分市全体をホスピスに!”を合言葉に7年間で850名ほどを在宅で看取っている。この1年間は152名の在宅看取りで、うち80%は末期がんである。当クリニックは大分市の中央にあり、市内全領域に約30分以内に往診可能であり、大分市全地域の在宅医療ができる。多職種と在宅緩和ケアチーム(市内20 ヶ所の訪問看護ステーション、15か所の調剤薬局、60名のケアマネなど)を結成し、朝に病院から帰りたい患者が居れば、午後に在宅で訪問診療が開始できる体制が大分市内のどの地域でも出来上がっている。市内の5つのがん拠点病院の地域連携室と連携し、これらの病院を中心にがん患者を年間140名前後訪問診療し、約120名を看取っている。がんの自宅死率は平成20年5.3%から、平成24年は13.2%と約2.5倍上昇した。ただ、大分市以外の大分県内では平成24年4.3%と極めて少ない。大分市の自宅看取り実数も56名から149名に増加し ているが、当クリニックがこのうち75%を占めている。
 がん患者などでも最後まで在宅で過ごさせ、在宅看取りを増加させるたるためには、何が必要であろうか。地域全体の診療所での個々の看取りを増やすより、その地域に適した在宅緩和ケア専門のクリニックを充実させる方が、より効果的と思われる。大分市の場合は、その特殊性(大分市ではがん拠点病院が集中し、在宅医療をし易い地域性や資源がある)から、地域の緩和ケアができやすい。  ただ、問題点もある。平成25年、26年は、がんの自宅死率は11%台と低下しており、1ヶ所のみの専門クリニックのみの限界も見えている。有効な在宅医療を推し進めるためには、抵抗勢力となる医師会(独自の在宅医療推進事業を展開しているが、講演会や会議ばかりであり、血が通っていない)との協調や、一部の看取りをしない在宅専門クリニックの存在もある。医師会とも協力体制を取り、他の診療所の副主治医として専門クリニックが手助けをする体制作りを進めているが、なかなか進まない。以上、大分市での在宅医療の現状や問題点を述べたい。

 

シンポジウム④ 宮崎キュアケアネットワークの取り組み

シンポジスト 外山 博一(外山内科神経内科医院 院長、宮崎キュアケアネットワーク世話人)

 宮崎キュアケアネットワークの発祥は平成21年2月28日に遡ります。第11回日本在宅医学会が鹿児島で開催され、懇親会の後、訪問診療をされている牛谷先生、訪問薬剤師の萩田さんと私の3人で鹿児島の繁華街“天文館”で多職種のメーリングリストが必要だという話で盛り上がりました。早速、医師・歯科医師・薬剤師・看護師・介護支援専門員等9名の発起人を集め、平成21年4月1日より宮崎キュアケアネットワークMLを「宮崎の医療・介護・福祉の現場で働かれている皆さんが在宅に関する情報や意見交換をメーリングリストを通じて行い、地域における多職種間の連携を円滑に進め、在宅医療の運用、関係機関との信頼関係を構築することを目的とする。」ということで立ち上げました。
 宮崎キュアケアネットワークの活動は、「①多職種がメーリングリストを通じて意見交換、情報提供を行い、在宅医療を推進する。②在宅を支える多職種交流会(研修会・懇親会)、職種を超えて地域における多職種間の連携が進むような意見交換、ホットなテーマをもとに基調講演からディスカッション、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャー、セラピスト、ソーシャルワーカーなど多職種が関わり合う場を作る。主に地域ごとにグループ編成を行うことで、在宅を支える多職種が顔の見える関係性構築を目指す。③宮崎在宅医療実践のための講演会・研修会、④市民参加型フォーラムの開催、テーマを基にした基調講演、シンポジウム、医療介護の現場など、これから必要な知識を情報発信する。」を基本としています。
 平成21年は「困難事例の検討」をテーマとし、平成22年は「在宅ケアと臨床倫理」、平成23年は「看取りを伴う地域医療ネットワークづくり」、平成24年は「最後まで口から食べたい」、平成25年は「高齢者の多様な住まいは、終の住まいとなり得るか」、平成26年は「エンディングノート」、平成27年は「地域包括ケアシステムを掘り下げる!」、平成28年は「地域包括ケアシステムを成り立たせるために〜今、私たちが望まれていること〜」と毎年、時代の先取りをする形で宮崎の多職種連携の在宅医療を草の根活動から牽引してきました。また、平成25年には第4回九州在宅医療推進フォーラム〜ひむかの国から発信『地域在宅医療』 〜も開催しました。宮崎キュアケアネットワークML会員数も平成21年71名から、平成28年211名まで増加してきています。
 また、宮崎県の医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会・介護支援専門員協会等との連携はもとより、宮崎県や宮崎市の行政との連携により発展をし、実行委員会のチーム分担化等を勧め、活動は効率化されました。しかし、逆にいつの間にか草の根運動や患者さんに寄り添う部分の空洞化が出てきているのではないかとの懸念が出てきて、最近では初心に戻ろうという気運が出てきています。

 

シンポジウム④ ドクターゴン診療所の取り組み(今年の宮古島大会のご案内)

シンポジスト 泰川 恵吾(医療法人鳥伝白川会 ドクターゴン診療所 理事長)

 宮古島群は、沖縄本島の南西約300kmに浮かぶ大小8つの島で形成されている。
 ドクターゴン診療所、分院のドクターゴン四島診療所、看護小規模多機能型サービス「ゴン」は、このうち宮古本島から5km以内の6島全域の在宅医療と介護を担っている。
 高齢化率が低い沖縄県内にあって、宮古群島は我々が診療を開始した平成16年9月時点から、約24%の高齢化率で大きな変化は無い。現在、急性期病院2施設、慢性期病院2施設、診療所は32施設あり、離島としては比較的医療、介護の体制は充実していると言える。しかしながら、その施設で働く専門職の確保は容易ではない。医学部をはじめとする医療系の養成機関は島内に無く、大学や専門学校へ進学には、島外へ出ていく必要がある。都会に出て専門技術を習得した島出身者が還って来るケースは稀である。このため、各施設とも、専門職の確保には苦心している。新しい知識の習得、技術の研鑽も大きな課題である。専門技術が廃れていくようでは、専門職は居つかないし、地域の医療水準が低下する。これは宮古群島に限らず、我が国全ての離島僻地が抱えた問題である。特に、大学病院の医局制度が衰退してからは、地域への医師派遣が滞り、それに伴って他の専門職の確保もますます困難になっている。
 我々は、首都圏である神奈川の鎌倉に分院を持つことで、スタッフのローテーションを可能にし、体制を維持しているが、宮古群島の地域特異性を生かした独自の取り組みも行っている。
 その中で、身体的障がいの為に閉じこもっていた患者らに対して、珊瑚礁の海でのリハビリテーションが、患者の心と体に治療的な影響を及ぼしたケースを紹介する。患者だけでなく、島外から移住して宮古島の環境に適応した当院スタッフ達も一緒に海に入って楽しんでいる。 島での仕事の中に都会とは違った意義を見出すことが大切である。
 宮古島では、本年10月29日(土)、30日(日)に、「第7回九州在宅医療推進フォーラム 宮古島大会」が開催される。九州各地からご参加いただく皆様に、竜宮の島と言われる宮古島の空と海を満喫して頂きたい。

 

シンポジウム⑤ みんなで支える看取り 日頃の思いを医師と語ろう

座 長      原田ケイ子(鹿児島県看護協会 専務理事)
講 師      新田 國夫(新田クリニック 院長)
         フロアの方との意見交換会

 現在は高齢者の76%が病院などの医療機関でなくなっている。今後の死亡者数の増加や在宅医療、療養にかかわる資源の確保によって、在宅での看取りがさらに求められる。療養病床の廃止がなぜ行われるのか、様ざまな障害を抱えながら、生活者として生きることは、病床ではない。たとえ動けなかったとしても、衣食住が確保され、車いすでも移動の自由がある生活こそが、超高齢化社会にふさわしい生き方である。豊かさを持って生きることは、死も含まれる。しかしながら、現状では在宅での高齢者医療の知識不足、看取りの経験の不足、24時間対応への負担感などの様ざまな要因により、在宅における生活を支える医療、見取りに対応した訪問診療を提供する診療所はいまだに限られている。医療者のみでなく、在宅療養にかかわる多職種の意思決定も方向性が一致しているとは思えない。
 又国民の立場からすると、自らの受けたい医療、介護に関する医療表示を行わないままに、状態が重度化して、意思表示が困難となり、その結果、本人が持っていたであろう意思とは異なる医療が提供されている。本人や家族が住み慣れた場所で最期を迎えることを望んでいたとしても、人生の最終段階にたどる病状の変化に対しての知識が不足している現状があり、必ずしも必要のないのに入院し、病院で最期を迎えることになる。こうした様々な問題を抱えながら在宅医療の価値を創造し、見えるかを示すことが必要である。

 

講演① 「在宅療養支援診療所の仕組みづくりと経営改善方法」

座 長      吉永 隆行(株式会社キャナル・コンピューター・プリント)
第一部:在宅療養支援診療所を取り巻く現状と「仕組み」づくり〜医療法人社団プラタナスの例より〜
         大石佳能子(株式会社メディヴァ 代表取締役)
第二部:在宅療養支援診療所経営の課題と改善方法 〜コンサルタントの視点より〜
         荒木 庸輔(株式会社メディヴァ シニアコンサルタント)

大石佳能子(株式会社メディヴァ 代表取締役)

 今後益々急速に増える高齢者にとっては「病を治療する」だけでなく「病とともに生きる」ことをサポートする医療が必要となり、「キュア」から「ケア」への転換が求められる。高齢者を住み慣れた場でケアしていくためには、生活の場を支える「在宅医療」体制の充足が重要であり、「在宅療養支援診療所」は、その要となる。
 しかしながら、これからの高齢社会に対応するだけの在宅療養支援診療所は、質量ともに、まだまだ確保できていないのが現状である。その理由としては、24時間365日の業務負担の他に、在宅医療に必要となる幅広い診療内容や、外来診療とは異なる業務フローが上げられる。
 今回の発表では、第一部では、業務改善、ワークシェアリング、IT化、教育研修の仕組み、在宅パス等を用いて質の高い在宅療養支援診療所を運営している医療法人社団プラタナスの例とともに、その元となったイギリスのシステムについて共有化する。
 また第二部では、在宅療養支援診療所へのコンサルティング事例に基づき、在宅療養支援診療所の経営や運営上で課題となりがちな点を上げ、どのように解決すると質を確保しながら健全経営を実現できるかを共有する。

 

講演② 特別企画「熊本地震に学ぶ、事業継続に必要なこと」

座 長      松井光一郎(鹿児島県老施協防災対策委員長)
講 師      鴻江 圭子(社会福祉法人 杏風会 施設長)

 2016年4月14日に発生した熊本地震は、気象庁震度階級で最大の震度7を九州で初めて観測した。
 甚大な人的被害はもとより、多くの建物・設備の損傷、交通機関やライフラインの遮断が発生し経済活動にも深刻な影響を与えた。現在、医療福祉の分野でも緊急事態に備えて損害を最小限にとどめ、重要な事業や業務を継続、早期復旧させるための計画(事業継続計画:BSC)策定の重要性が指摘されている。
 今回の地震において、救援物資等のサポート拠点として熊本市内の介護施設等を支援した経験から見えてきた課題や今後BSCを見据えた取り組みについても提言を頂きたい。

 

講演③ 生活行為力向上とは

講 師      藤原  茂(作業療法士)夢のみずうみ村 代表

 平成27年度の介護保険法改正では、「個別機能訓練加算Ⅱ」として、生活機能の向上をいかに図るかが通所施設に問いかけられました。デイサービスでは、「生活機能グループ活動加算」や「個別機能訓練加算Ⅱ」。デイケアでは「生活行為向上リハビリテーション加算」などが順次新設されています。
 「生活機能」全体を重視しなければなりません。「生活機能」の中身をスタッフがしっかり承知すべきです。「心身機能へのアプローチ」「活動へのアプローチ」「参加へのアプローチ」。この3つのすべてのアプローチを施設内で展開できるように発想の転換が必要なのです。その役目を果たす機能訓練指導員はどのように取り組むか、施設のプログラム展開はどうあるべきかきか。発想」と「方法」を一緒に探りましょう!
 そして、「ADL向上への働きかけ」「IADL向上への働きかけ」「役割の創出・社会参加の実現」この3つの具体的展開をプログラム化することが必要です。地域包括ケアを本格的に進めようとする大音声の渦中です。
 夢のみずうみ村で行っているプログラムには、生活行為力向上を果たす手立てが潜んでいます。「通所施設における生活行為力」をいかに向上させるか?とその具体的なアプローチ方法を具体的にお教え致します。