NPO 在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク 全国の集い in 鹿児島 2016は、『ご近所』が主役 おひとりさまも人生100年「きばいやんせ!!」
平成28年9月18日(日)・19日(月・祝)
かごしま県民交流センター

ランチョンセミナー 1日目

 

ランチョンセミナー1
増え続ける認知症や骨粗鬆症への対応を考える 〜転倒・骨折の予防による健康寿命の影響〜

座 長      吉元 和浩(みどり明星クリニツク 院長)
演 者      吉岩あおい(大分大学医学部附属病院総合内科・総合診療科 診療教授)

 本邦の認知症は、現在462万人、予備群が400万人と報告され、最も頻度が高いアルツハイマー病は、ありふれた疾患(common disease)と捉えられるようになってきた。
 一方人口の高齢化に伴い、骨粗鬆症患者も急増しており、脳卒中、認知症とともに、大腿骨近位部骨折が寝たきりの原因の多くを占めている。両疾患の合併も多く、転倒による骨折のため寝たきりとなり、認知症を発症してしまう。
 転倒による骨折の要因としては、加齢、骨粗鬆症などの全身疾患、認知症など精神的疾患によるものや薬物に起因するものなどがある。
 認知症患者では、徘徊などにより大腿骨近位部骨折が約7倍増加し、37.5%が1年以内に死亡すると報告されている。
 認知症患者が大腿骨近位部骨折を起こした場合、訴えがはっきりせず、骨折の発見が遅れ合併症を伴う、術後せん妄のためリハビリが遅れる、認知症の行動・心理症状(BPSD)があり、投薬やリハビリが困難などの理由から寝たきりになってしまうため、骨折を予防することが重要である。
 骨粗鬆症の治療・認知症治療への早期介入が、転倒骨折による長期臥床や寝たきり認知症を防ぐことに繋がり、患者のQOL・ADLや生命予後の改善をもたらす。
 寝たきり認知症を防ぎ、一日も長く自宅で生活を送るためには、認知症、骨粗鬆症ともに早期の適切治療と、地域の連携が必要である。

 

ランチョンセミナー2
特養での自立支援介護、そして在宅復帰の取組み

演 者      齊藤 貴也(社会福祉法人 正吉福祉会杜の風・上原特別養護老人ホーム正吉苑 施設長)

 杜の風・上原は平成25年4月に開設し、3年が経過する。同法人内の他施設で実施した自立支援ケアのノウハウにより開設時から紙おむつ等は購入せずに、入所した初日からトイレ誘導を開始することで、自立性の回復を目指し、おむつゼロの特養としての取組みを実施した。
 そして、このような自立支援ケアを施設の介護のベースとしながら、特養からの在宅復帰、在宅生活の継続支援として「在宅・入所相互利用加算(以下、相互利用)」の事業に取り組んだ。この相互利用は、1つのベッドに在宅で介護に困っている複数の利用者が交互に入所し、その2~3ヶ月の入所中に集中的な自立支援ケアにて本人の状態を改善し、在宅で介護者が抱える介護負担を取り払う、または軽減するという取組みである。
 開設当初から自立支援を施設の方針とし、入所日からのおむつ外しや水分ケア、常食化、歩行能力を回復するケアに取り組んだ結果、入所前の介護度に対し、入所後の初回の更新時には、48%(30名/ 63名)の利用者が介護度に改善がみられた。
 また、相互利用については5床にて10名の利用者が登録を行い、H27年度では退所者のうち64.9%(24名/ 37名)が相互利用により在宅復帰し、在宅生活を継続している。
 このような自立支援ケアや相互利用の実施により、施設利用者だけのケアではなく、地域の方々が安心して、住み慣れた地域で暮らし続けることができるように特養を中心とした地域包括ケアの構築を目指している。

 

ランチョンセミナー3
『スカラーシップ事業の発足と進捗について』

座 長      浅沼 裕子(いらはら診療所事務長)
演 者      水野 文雄(いらはら診療所顧問)
              フィリピン・ネグロス島でNGO 活動/
              ブータンのJICA プロジェクト/
              ネットワーク・スカラーシップ事業の発足に参加)

 介護現場における人材不足は深刻化する現在、外国からの人材の活用は喫緊の課題である。日本政府は、成長戦略で来年度にも実習生が介護現場で働けるようする方針を盛り込んでいる。
 実習生は日本の介護技術を学びながら就労が可能となる。外国人が日本の介護現場で働くためには、十分な日本語でのコミューニケーショ能が必要である。スカラーシップ事業では、日本で就労を希望するフィリピンの看護・介護士を留学生として招聘し、就労に必要な日本語能力の向上を支援することを目的としている。
 2015年フィリピン側の協力を得るため、日本語教育を通じて青年の雇用能力向上に熱心な西ネグロス州および南カマリネス州両政府を訪問し協力合意書を締結し、スカラー候補者に対する来日前の日本語学習の実施体制を整備した。今春、両州等で選考された青年7名は、日本語学校に入学し、日本語の学習に励むと共にネットワーク会員の支援で実務研修を受けている。

 

ランチョンセミナー4
介護人材が定着する「良い組織」のポイント 〜厚生労働省委託調査結果より〜

座 長      長縄 伸幸(特定医療法人フェニックス)
演 者      飯塚以和夫(株式会社メディヴァ シニアマネージャー)

 地域包括ケアシステムの健全な運営のためには、良い介護事業者の存在が欠かせない。しかしながら、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされている。「収入が低いから」、「仕事がキツイから」等が、介護業界に人が居つかない理由として上げられる。
 しかしながら、本当にそうなのか?厚生労働省の委託調査の結果、介護人材が定着する鍵は「組織の健全な運営」であることが判明した。介護人材の定着を目指した「3つのステップ」とそれを元にした、介護事業所の自己チェックシートを共有する。併せて、事業も人材も成長し、定着も図れている、地元鹿児島のベストプラクティス「旭ヶ丘園」の事例を共有する。

 

ランチョンセミナー5
熟練介護者の気づきを学ぶ 〜介護分野における新たなICT活用の試み〜

座 長      永田 寿子(社会福祉法人こうほうえん 教育研修人財部長)
演 者      神成 淳司(慶應義塾大学環境情報学部准教授、医学部准教授(兼務))

 介護の分野では経験の浅い介護スタッフが多い現状は否めない。
 また、介護の質が十分に定義されておらず、質を高める取り組みや習熟に対して介護者自身のインセンティブが乏しい状況であり、経験の浅い介護スタッフは自分の行動が根拠に基づいているか不安である。人間が行動する時には、「気づき」→判断→行動という段階を経ますが、既存の介護記録には、「気づき」が表現されておらず、「気づき」を可視化することが重要である。
 そこで、このような悩みを解決する手段として、介護の質を評価するためのデータ取得方法とデータの標準的な分析手法を構築し、これらを活用し介護者の「気付き」を促進することで、介護サービス従事者の熟練化を支援する研修サービス等の構築・検証を行っている。
 経験の浅い介護スタッフが、「気づき」のデータがあることで、根拠をもってケアができ、ケアの質に良い影響があることをお話しします。

 

ランチョンセミナー6
日新公いろは歌と明治維新

座 長      多湖 光宗(ウエルネス医療クリニック)
演 者      原口  泉(鹿児島県立図書館館長)

◆  「日新公いろは歌」は、島津家中興の祖といわれる島津忠良(ただよし)が、完成させた、人としての心得などを47首の歌に謳い込んだものです。薩摩藩の教育の基本となったといわれ、明治維新で活躍した西郷隆盛等の藩士をはじめ、藩内の人々の精神に大きな影響を与えたものです。この「日新公いろは歌」は現代の私たちにも通じる多くの示唆を含んでおり、青少年の教育をはじめ、様々な教育の場でも取り上げられています。
   この企画は、現代の人材育成にも通じるこの「いろは歌」の教えに触れていただきたいとウエルネス医療クリニックの多湖光宗先生のご提案により、また、「日新公いろは歌」に関する講演を多数行われている原口 泉先生のご協力をいただき実現いたしました。ぜひ多くの方々に日新公の教えに触れていただきたいと思います。
◆生年月日:1947年生まれ ◆出身地:鹿児島市
◆略歴
   米国ネブラスカ州立大学付属ハイスクールと鹿児島県立甲南高等学校卒業、東京大学文学部国史学科卒業。東京大学大学院博士課程単位取得。鹿児島大学教授時代には生涯学習教育研究センター長を兼務。専門は日本近世・近代史。特に薩摩藩の歴史。国内だけでなく、イギリス・フランス・イタリア・アメリカ・ブラジル等で講演。鹿児島大学・鹿児島女子短期大学・琉球大学・沖縄国際大学・沖縄大学・長崎大学・同志社大学・北海道教育大学・サンカルロス大学・シンガポール大学・サンノゼ州立大学・スタンフォード大学等で講義・講演。2015年5月15・16日、イタリアミラノ万博で講演。
   9月1日はロンドンの日本大使館で講演。2016年は3月10日ベトナムで講演。10月イタリアのローマ文化会館で講演予定。
◆講師紹介
   志學館大学人間関係学部教授・鹿児島県立図書館館長のほか、放送大学大学院客員教授(千葉)、鹿児島大学名誉教授、農学部客員教授、法文学部特任教授等を兼務。NHK大河ドラマ「篤姫」等の時代考証や講演等、国際的に活躍されている。昨年2015年9月28日から放送のNHK朝の連続小説「あさが来た」の時代考証も担当された。著書も極めて多数あるが、最近では、2014年1月の幻冬舎刊「日本に今一番必要な黒田官兵衛」、12月には同じく幻冬舎刊「吉田松陰の妹」、2015年9月には海竜社刊「広岡浅子の「九転十起」」がある。
◆趣味:史跡巡見。歴史散歩の旅。
◆信条「生涯現役」
ランチョンセミナー⑥は当日資料を配布します。

 

ランチョンセミナー7
医療連携と包括ケアの実情に合わせたICT導入を考える〜東日本震災復興支援の事例と技術的活用事例を紹介〜

演 者      佐藤  肇(富士ゼロックス株式会社 ヘルスケア営業部)

 地域での連携を考えた場合、地域医療と地域包括ケアがしっかりと連携をとって進めていかなければなりません。システムを使う人から見た場合は、それぞれの業務に適したシステムや機器を利用する事が重要ですが、その一方で情報を共有する事も考えていかなければなりません。
 医療ネットワークにおいては、一方的に中核病院の診療記録を閲覧するというシステムが多いようですが、今後は双方向で情報をやり取りするコミュニケーションの実現に向け、ゼロックスのドキュメント技術等を活用した事例や介護の見える化などの事例をご紹介いたします。

 

ランチョンセミナー8
青藍会グループ・みらいを地域と共に

座 長      阿武 義人(青藍会グループ 代表)
演 者      阿武 幸美(青藍会グループ 副代表)

 青藍会グループは、1922年2月19日、代表である阿武義人の祖父初代阿武金槌が、山口に阿武小児科内科医院を設立し、地域医療を志してから、初代阿武金槌〜2代目阿武壽人〜3代目阿武義人と、医師3代でつなぎ、今年で94年となります。その間、阿武小児科内科、阿武内科、あんの循環器内科、ハートクリニック南山口、ハートクリニック新山口での医療を通じて、地域と共に歩んで参りました。
 地域医療を目指す組織名として2代目阿武壽人が命名した「青藍会」の思いを、法人理念(「私たちは医療、保健、福祉の分野で、地域の方々の生活を、生涯に渡って支えることに最善を尽くし、そこで働いていることに誇りを持ちます。」)とし、現在の世代より良い次世代を創ることをめざして、職員一同地域の方の心に届くような仕事を通じて、精進しております。
 その中で、未来の子どもたち対し、地域の方と私たち青藍会グループが共生してきた活動が、建築の最高峰であるBCS(Building Contractors Society=現建築業協会)賞に評価されたのではないかと思います。
 受賞したはあと保育園は、新山口駅前の開発地において、隣接する小児科クリニック(ハートクリニック新山口)、病児保育・障がい児支援施設・訪問看護ステーションをはじめとする訪問系と通所系を併設する高齢者住宅や高層マンション、商業施設、都市公園との連続性を意識しながら建築されており、緑を建物内に取り込みつつ、建物全体を子どもの遊具としています。併設する住宅の高齢者との交流はもちろんのこと、近隣の未就園児と保護者にも解放され、地域の子育て支援などにも取り組んでいます。

青藍会グループの子育て・子育ち事業(8事業所)
小児科(1)、病児保育(2)、認可保育園(1)、地域型保育園・事業所内保育所(1)、相談支援事業(1)、児童発達支援・放課後等デイサービス(2)、青藍会グループ全体事業(70事業所 2016.9.1現在)

はあと保育園 受賞一覧・9受賞
1.第56回BCS賞
2.こども環境学会賞<こども環境デザイン賞>
3.JIA中国建築大賞<一般建築部門優秀賞>
4.第9回キッズデザイン賞
5.2015年度グッドデザイン賞
6.平成27年度日事連建築賞<一般部門優秀賞>
7.日本建築家協会優秀建築選
8.日本建築学会作品選集
9.日本建築学会建築選奨

 

ランチョンセミナー9
施設でできる在宅医療と看取り 〜てびきと研修で介護職員の不安解消!

座 長      下田 郷子(ホームホスピスもりの家 管理者)
演 者      小倉 和也(はちのへファミリークリニック院長)

 現在在宅医療のかなりの部分が高齢者に居住型のサービスを提供している介護保険施設及び介護保険外の施設における、いわゆる施設在宅で占められています。しかし、八戸市が行った看取りに関するアンケート調査では、市内にある居住型介護保険施設51施設のうち回答のあった30施設の中で、看取りを実施している施設は64%にあたる19施設のみであり、介護保険外の施設36施設のうち回答のあった32施設の中で、施設における看取りが可能と答えた施設は50%にあたる16施設に過ぎませんでした。
 施設での看取りの実施を阻害している要因としてあげられた中では、施設の介護職員の知識・技能・経験がないことに関する不安が多かったほか、看取りを実施している施設においても、介護職員の心的ストレスに対する不安が指摘されました。
 これらを踏まえ、介護職員が医療と連携しながら安心して施設での在宅医療と看取りを行うためのてびきを作成しました。現在八戸地域を中心に用いられている、てびきと研修の一部をご紹介いたします。